宇野千代 女の一生 (とんぼの本)
宇野千代 女の一生 (とんぼの本) / 感想・レビュー
ヒロミ
元祖・おしゃれ番長の女流作家宇野千代。花の命は短くなくて、明治・大正・昭和・平成を駆け抜け98歳の天寿をまっとうした恋多き美しき人だ。宇野千代さんは着物デザイナーとしても有名でこのムックではデザイナーとしての千代さんも堪能することができる。梶井基次郎と噂になったとき「私が面食いなの知っているでしょう」と一笑に付したエピソードを何処かで読んだが、そりゃ梶井さんも檸檬を爆発させたくなるわけである。安吾や太宰とも同時代人だった千代さんだが(安吾は千代さんファン)改めてその作品を読み返してみたい。女は強し!
2015/07/07
ぐっちー
桜の季節に淡墨桜の話題をテレビで見た。宇野千代さんの話にも触れていたので、手にした。客間や仕事場の写真にじーっと見入った。シンプルでとても趣味の良い部屋。この人の生き方が、着物や調度によく表れている。「おしゃれは文明人の義務」という言葉には恐れ入った。おしゃれ(金をかけるという意ではない)は、自分の内面と向き合うことと、外部の人に気を使うこと両方ができる、人としてとても大切なことなんだと思った。
2017/04/16
re;
女の原動力は多彩だ。感動し、震える心。その振動が大きければ大きいほど、きっと高く羽ばたける。自分の信じるものを信じぬき、誰にも文句は言わせない。その代わり、自分のどんな境遇にも文句を言わない。寡黙に、おしゃべりに、ストイックに、散漫に。女だからこその矛盾に満ちた生き方って、なんだかやっぱりかっこいい。『私は私よ』その生き方からそんな声が聞こえてくる。たった一度の人生だから、好きなものをとことん愛して、たとえ形は失っても胸に宿して。いつも心に熱を灯すように生きていけたら素敵。
2018/01/09
kaoriction@感想は気まぐれに
「My Dear」と周りの人に言わしめた宇野千代の魅力と哲学が満載。「泥棒と人殺しのほかは何でもした」と言うが、心根は豊かで優しい人なのだろうと感じる。去る恋人に「よよと泣かない」。「いらないからあげる、なんて失礼だ、それなら捨てた方がマシ 自分が惜しくてたまらにいものをあげなさい」「毎日、座っている中に、何か書ける」等、人生を愉しく粋に生きてゆく哲学。晩年まで週に一度の美容院通いをしたというヘアスタイル変遷や、千代デザインの着物、特装本や手紙、調度品、レシピなど何時間でも眺めて読んでいられる一冊だった。
2013/01/17
Noelle
著書を何冊か読んで、大方の彼女の人生遍歴をわかったように思っていたが、本書は写真満載で、時代時代のそのお洒落っぷり、作家としての有り様、暮らしぶり、着物、料理、雑誌、また結婚相手、交友関係などが如実にその写真に顕れる。ああ、惚れた男はやっぱりイケメンだし、梶井はないなあ〜とか。ご本人が160cmと当時にしては大柄だから、洋装でも着物でもモデルさんのような佇まいなのもむべなるかな。ずっとそばにいた藤江さんの文章も宇野さんのお人柄をよく伝えている。「お洒落は文明人の義務である」カッコイイの一言につきる。
2017/02/17
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