とんぼの本 須賀敦子が歩いた道
とんぼの本 須賀敦子が歩いた道 / 感想・レビュー
コットン
品が合って控えめだけれど皆に愛されていた須賀さんの人柄が書かれ、厳選された写真から須賀作品のフォローにもなっている本。近い将来行ってみたいイタリア!!
2015/08/19
寛生
【図書館】須賀が美を追求していく姿は厳しい。坂道をこよなく愛したことに象徴されるその歩きは、時には暗闇の中にわずかにさしてくる光を頼りに、耐えることをも自らに課しながら、美に対峙していったのではないか。また、その美に対する彼女の姿勢は、同時に翻訳者として、「言語」に向かう姿勢にも見られるのではないだろうか。没後、寄贈した蔵書が3500冊以上にも上ったことにもそれは見られるだろう。信仰者でもあった彼女が「完璧な虚構のなかにいれば悲しみは癒されるのではないか」(70頁)とふと呟く。深い響きがあると思う。
2014/04/20
紫羊
須賀敦子さんが歩いた道や愛した風景が美しい写真で紹介されています。当然ながらそれら全てに強く心を打たれました。でも、最も興味深く眺めたのは、毎年一式ずつ誂えていたという遺品の着物と帯です。贅を尽くした、それでいて控えめな品の良さが、いかにも須賀さんらしい。いろいろ楽しめる本でした。
2015/11/22
長谷川透
須賀敦子翻訳の本は多数読んでいるのだが、エッセイは一冊しか読んだことがない。もう何冊か彼女のエッセイを読んでから手に取った方が好ましい本ではあるが、唯一読んだ一冊である『トリエステの坂道』で書かれていた景色が数多く収録されており、写真を眺めながら、偶然に感謝しながら満ち足りた気分になった。須賀敦子のエッセイを片手に直ぐにでもイタリアに飛び立って、自らの足で坂をゆっくりと昇りたくなる、そんな本だった。
2012/11/18
あいくん
☆☆☆須賀敦子さんは1929年(昭和4年)に生まれ1998年(平成10年)に亡くなりました。29歳からの42歳までの13年をイタリアで過ごしたということから、日本にイタリアの魅力を紹介するエッセイを書き続けました。ミラノ、フィレンシェ、ヴェネツィアなどでの須賀さんの足跡をこの本は写真で紹介しています。1953年にパリ留学のために須賀さんは40日の船旅を経て、イタリアのジェノワに上陸します。1991年には「ミラノ霧の風景」で女流文学賞を受賞します。このあとイタリアを題材にしたエッセイ集を刊行します。
2018/01/10
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