意匠の天才 小村雪岱 (とんぼの本)
意匠の天才 小村雪岱 (とんぼの本) / 感想・レビュー
keroppi
読友さんのレビューを見なければ、小村雪岱のことを知らなかった。繊細でシャープな線と大胆な構図。一目でこの作家の虜となった。本の装丁、挿絵、舞台美術、日本画、さらに資生堂でのデザインと、その守備範囲は広い。資生堂では、社名ロゴのデザインにも関わっていたようだ。一面黒い川面に白い足が見える「お傳地獄」の挿絵には、特に目を奪われてしまった。
2020/08/13
ヒロミ
大正の元祖名デザイナー雪岱。泉鏡花の「日本橋」の日本橋を蝶が舞う素晴らしい装丁でデビューを飾った(この人と鏑木清方、橋口五葉、鰭崎英朋を私は勝手に「鏡花装丁(挿絵)四天王」と呼んでいる)。帯によると「挿絵、舞台美術、日本画まで全151点収録」とのことだが鏡花についての随筆も二篇収録されており、コラムも充実した良書だった。雪岱は資生堂で化粧品のデザインを手掛けていたこともあり、その意匠は垢抜けていてシック(粋)だ。傘の群れの絵は今見ても本当に圧倒される。デザインに興味がある方は一度雪岱の意匠を見てほしい。
2016/08/04
ぶんこ
読友さんの感想を拝見して巡り会えた小村雪岱。とてもとても素晴らしい。ふぅ〜。ため息しかでません。静謐な美しさを感じます。元々日本画が好きなのですが、日本画とモダンな感性がとけあい、歌舞伎の世界を感じたり、資生堂の香水瓶に大正の時代を感じたりと心持っていかれました。数少ない著作、そして美術館にも足を運びたいです。ポスタカード本もあるようで、それも手元に置きたいです。読友さんに感謝です。
2016/11/16
どぶねずみ
小村雪岱の絵は大和絵の「雅」と浮世絵の「俗」との融合。鈴木春信の影響が大きかったようだが、挿絵や装丁を中心としていたため、アート界では低く見られていたが、再評価されるべき人物だと思う。新聞小説連載の挿絵も手掛けていたため、息つく暇もないハードワークをこなしていたそうだ。私が好きな鏑木清方とも交流があり、描く雰囲気も似ている。また、舞台美術家としての実績も残している。やはり、展示を観てみたい。
2021/02/25
yyrn
小村雪岱の「挿絵」は何度見てもいい。いいとしか言いようがない。たとえ小説は読んでいなくても、雪岱が描いた挿絵や本の装幀画の一つひとつに、日本的な切なさや、やるせなさ、簡素な美などが感じられて連想が膨らむので(未読の方がさらに広がる?)コロナ静養には打ってつけの本だとおススメしたいw。▼代表的な挿絵や装幀画、舞台美術の解説のほか、泉鏡花をはじめとする小説家との関係や雪岱自身のエピソード、後世への影響など、幅広く取り上げられていて、雪岱びいきには嬉しい本に仕上がっている。▼戦争で作品が焼失するのは惜しいと⇒
2022/11/24
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