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蝦夷地別件 上 (新潮ミステリー倶楽部)

蝦夷地別件 上 (新潮ミステリー倶楽部)

蝦夷地別件 上 (新潮ミステリー倶楽部)

作家
船戸与一
出版社
新潮社
発売日
1995-05-25
ISBN
9784106027383
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蝦夷地別件 上 (新潮ミステリー倶楽部) / 感想・レビュー

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印度 洋一郎

江戸時代後期の蝦夷地を舞台に、和人の過酷な支配にあえぐアイヌ、蝦夷を統治する松前藩、蝦夷地を直轄支配したい幕府、そして東進政策を取るロシアの裏で暗躍する亡国のポーランド人達など、様々な勢力が入り乱れる壮大なストーリー。上巻は登場人物達が出揃い、アイヌ達が反乱へと立ち上がろうとするまで。様々に引かれた伏線を下巻でどう回収していくのが期待させられる。アイヌも内部に様々な思惑を抱えて、愛憎が渦巻いており、決して虐げられた無辜の民とは描いていないのが印象的だった。

2019/07/31

c

最近船戸与一の初期作品を読み返していて、ついでにと未読だった「新・雨月」にも手を伸ばしたのだが、イマイチ。初期作品と比べるように読んだから、尚更筆力の衰えに目が行ったのも不味かった。「満州国演義」も途中で読むのを止めてしまったし、船戸の筆致は歴史・時代小説と相性が悪いのかと思い、改めてこの「蝦夷地別件」を再読してみた。著者の脂が乗った時期の作品であるので、傑作なのは当然。「猛き箱舟」も代表作の一つだが、飽くまでも初期の集大成である。作家の最高到達点という意味では本作か、「砂のクロニクル」に尽きるだろう。

2017/12/13

にとりん

登場人物が多く、場面もよく変わるため最初はかなり読みにくい、けど慣れてくると一気に読める。この時代の日本と蝦夷地の成り立ちと差別がよく分かる。若い蝦夷の女の子が、みんなかわいいのもポイント。面白いです。

2013/02/14

よっちゃん

船戸与一の作品で何が一番面白いかとたずねられ、「蝦夷地別件」と答えました。稀有壮大な構想と的確な歴史認識をもって、少数民族の滅亡の地獄図を鬼哭啾啾と描き、かつ2800枚の大長編でありながら読者を退屈させないその緊張感。 物語はこの歴史上の蜂起、1789年の前年から始まる。アイヌ部族側は和平派と徹底抗戦派に分裂し混乱におちいる。和人側はアイヌ殲滅派から同化政策を説く常識人もいる。さらに中央は松平定信が幕政改革を進め、定信はクセモノだからこの武装蜂起をきっかけに蝦夷地経営を松前藩から奪回せんと虎視眈々。 

2003/01/17

wrbkkb

「船戸与一さんはまったく虚飾のなかった人」という辺見庸による追悼文を読んで、そのような作家はどのような小説を書くのかと思い始めて船戸小説を読んでみた。全3巻のストーリーの展開は、十分楽しめた。狩猟民族であるアイヌ、封建支配下の倭人、そして近代国家の成立過程にあるヨーロッパという大きな状況をおいて、時代の大きな流れの中で人々の相克、苦悩し戦う人々をよく書いていると思った。アイヌの歴史の一端を知らされた。

2015/09/24

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