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家族狩り (新潮ミステリー倶楽部)

家族狩り (新潮ミステリー倶楽部)

家族狩り (新潮ミステリー倶楽部)

作家
天童荒太
出版社
新潮社
発売日
1995-11-01
ISBN
9784106027420
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家族狩り (新潮ミステリー倶楽部) / 感想・レビュー

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Tetchy

愛に不器用な者たちの痛々しいまでの物語だ。心から血を吐くほどに狂おしいまでにそれは痛々しい。しかし最も恐ろしいのはそれら登場人物の中に自らの影が見いだせることだ。人生が苦痛と苦難を伴うものだと見せつけ、それでも生きていくことの難しさを刻み込まれる。児童虐待、家庭内暴力が撲滅されるまで我々人類はどのくらいの時間が必要なのか?いや過去に暴力を受けた大人たちがいる限り、この負の連鎖は無くならないのではと令和になった今でも思わざるを得ない。その証拠に今日もまたそんな虚しくも哀しいニュースが流れてきたではないか。

2020/07/12

kiyoboo

家庭崩壊寸前の家庭で猟奇的な殺人が連続して起きる。子供が家族を虐殺して自らも命を断つという結末に納得できない馬見原刑事は独自に捜査をすると意外な事実が・・。「あなたは子供に対して真剣に愛情を伝えてこれたと言える?」「あなたの接し方はとても愛とは言えなかった。」ドラマを観て原作が気になり読んでみた。かなり前に書かれた作品にしては、古臭い感じがしなかった。作品としては屈折していて過激かもしれないがこういうテーマはいつの時代も変わらないと言うことか?つい我が子への接し方について考えてしまった。

2014/08/20

そのぼん

重い、暗い、おぞましい・・・。あらゆる負の要素をかき混ぜたような作品でした。一家全員が凄惨な遺体となって発見された事件が発生した事件を中心にして、様々な人間模も織り混ぜながらどんよりとした空気感の中、物語が進行していきました。以前にドラマ化されたのもを見ていましたが、こちらの原作小説の方もなかなかよかったです。登場人物の家庭の中の問題が深く掘り下げられていて考えさせられる内容だったけど、殺人の場面の描写がかなりショッキングなので、ミステリーというより、むしろホラーのような空気感の作品でした。

2018/04/09

MATHILDA&LEON

592ページの大長編とも言える本作は、家族の抱える闇をこれでもかと読者にぶつけてくる凄まじい作品である。家庭内暴力や虐待は、外部には見えないものであるからこそ解決し難く、そこから逃げ出すことも容易ではない。ある種の完全密室で行われる殺人未遂とも言えるのではないか。本作に出てくる登場人物たちはそれぞれに“家族”の悩みを抱えているが、それがどう変化していくのか。そしてどう収束するのか。衝撃的な描写が続き心が痛くなるものの、様々な学びを得られた作品だった。

2023/03/06

浅木原

児童虐待と家庭内暴力。家族という閉じた世界の陰惨さを破壊するためにはそれを上回る暴力をぶつけるんだよ、と言わんばかりのグロテスクさ。全編を貫くのは「自分は間違っていないはず」という確信に囚われた人間たちのあまりにも絶望的なディスコミュニケーションで、それを徹底的に書き込むことで、わりかし類型的な登場人物や白蟻というモチーフの安直さを補ってあまりある迫力と、2019年の今読んでも全く褪せない現代性を獲得している。いささか能天気に思える主要人物への救いも、その後に待つラストで許せる。地獄のような傑作。

2019/11/24

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