カネが邪魔でしょうがない 明治大正・成金列伝 (新潮選書)
カネが邪魔でしょうがない 明治大正・成金列伝 (新潮選書) / 感想・レビュー
キムチ
表紙がコミックぽいけれど、内容は立派に文明論だった。筆者紀田氏は多方面な執筆者、表現法も屈折あり、揶揄あり、面白くさらっと読み易い。確かに明治が作り出した富豪成り金は奇人も多く悪銭身につかず、塵芥と消えて行った事例が多い。とは云うものの、筆者曰く、今日に通じるような成り金心証は「陋巷のどぶにたまった澱」・・じくじく生み出しながら奔出する機会を窺っているのかもしれない。それにしても男、当時の遅れた社会通念(妻妾同居等)を利用した商売の手管には人間性以前の問題。妾文化・・いまもあるのかも。
2014/12/14
たくのみ
写真に生きた鹿島清兵衛、冒険活劇人生の大倉喜八郎、株の絶頂と地獄をみた相場師の鈴久、タバコ専売制に泣いた岩谷松平…原資蓄積期の明治だからできた、巨大な富の溜め込み。美術品と女と豪邸に費やした「成金」の異様な生活だけでなく、彼らが子弟教育にかけた「カネ」は意外と実を結んでいることに驚く。毀誉褒貶、とくに嫉妬に近い感情が彼らの実像を見えにくくしてきたことも注意したい。
2013/06/20
walwal
明治、大正期に登場した成金たちの物語。当然彼らは放蕩の限りを尽くすんだけど、眉をひそめるよりも感心してしまうのはなぜだろう。/後書きで紀田先生がおっしゃっているようにこういった心性は誰の心にもあるのだろう。
2014/05/06
misui
鴎外「百物語」のモデルとなった人物・鹿島清兵衛が紹介されているとのことで手に取った。時代への先見性と進取性を持ち、財力を誇示して華々しく散っていった「成金」の姿が、合理一辺倒の現代にあっては眩しく映る。ノスタルジーまじりに怪人たちの業績をたどる面白い一冊。
2012/04/14
海
こんな人生で一番言ってみたいセリフがタイトルになってる本、他に見たことがないw成金さんたちの遊びっぷりがすごい。芸妓を全裸にして投げたお金を拾わせるのが当時の成金の遊びのスタンダードだったっぽいw愛人フタケタも当たり前。ケタが違いすぎるw没落した人もいるけど、最後まで幸せだった人って、どんな強運の持ち主なんだろう。
2011/12/07
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