不干斎ハビアン (新潮選書)
不干斎ハビアン (新潮選書) / 感想・レビュー
ネギっ子gen
【宗教という鵺のような存在を把握できた(と感じた)ときは、ある種の宗教体験のような状態になる】ハビアンは400年前、禅僧であったがクリスチャンへと改宗し、『妙貞問答』で仏教・儒教・道教・神道を細密に研究し批判した。だが晩年、キリシタン批判書『破提宇子』を発表。日本人キリシタンの中心的存在として活躍していたのに、なぜ突如キリシタンを棄教したのか。『破提宇子』は、キリシタン教団から「地獄のペスト」と怖れられたという。仏教からキリスト教までも批判した世界初の比較宗教学者。そのような人物が16世紀の日本にいた!⇒
2022/12/09
なる
戦国時代末期。仏教、神道、キリスト教をおそらく世界で最初に同列で比較した『妙貞問答』を著し、仏門からキリシタン、やがて儒教側へ回り今度はキリシタンの弾圧に手を貸すという曲がり道だらけの人生を歩んだ不干斎ハビアン。キリシタンから「地獄のペスト」と忌み嫌われた著書『破堤宇子』は芥川龍之介『るしへる』の題材としても採り上げられ、三浦朱門や遠藤周作といったキリスト教系の作家からも批判された人物像を追いながら、思想の変遷を仏教者である著者が宗教論として読み解いている。典型的なインテリのその場凌ぎ感は人間らしさ満載。
2022/03/18
秋 眉雄
1565年頃の生まれ。禅僧だったが、クリスチャンへと改宗。仏教・儒教・道教・神道とキリスト教を比較し論じた『妙貞問答』を著す。しかし、突如キリシタン信仰を棄て、晩年にキリシタン批判書『破提宇子』を発表。まず、そんな時代にこのような人物がいたこと自体が面白いです。この本は、様々な人たち(学者や作家等)が考察したものを踏まえつつ、上記2冊を丹念に読み解きながらハビアンの、その人物像を推理し構築していく一冊です。井浦新で映画化希望。
2018/12/27
軍縮地球市民shinshin
禅僧から出発し、キリスト教に改宗。若き儒者・林羅山と宗教論争を行い、羅山から敗北宣言される。その後、突如修道女と駆け落ちしてキリスト教を棄教。静かな生活を送っていたと思ったら、これも突如幕府のキリシタン弾圧に積極的に協力。キリスト教を理論的に破綻していると攻撃した『破提宇子』を執筆。宣教師曰くこの書は「地獄のペスト」だと評した。日本名は伝わらず、不干斎ハビアンと称した。ハビアンは、仏教・儒教・道教・神道・キリスト教を攻撃したが著者曰く「最期まで宗教者」であったという。その行動は現代的だと著者は指摘している
2019/07/31
gtn
著者はやたらハビアンを持ち上げているが、転向後のキリシタンへの攻撃は、別に高尚な哲学に由来するものではなく、ただただキリスト者の立場から逃げ出したことへの言い訳であろう。退転者によくある行動パターンである。
2017/12/31
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