日本の少子化 百年の迷走 (新潮選書)
日本の少子化 百年の迷走 (新潮選書) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
本書の目的:戦前から戦後の日本史を、人口の視点で捉え直し、なぜ、日本は戦争に突き進んでいくことになったのかの検証と、国際紛争の背景に人口戦が存在するのを確認すること(7頁)。福沢諭吉が心配した人口過剰と、解決策としての海外への展望は、日本の命運を大きく左右していった(21頁)。産児制限で大正から昭和初頭にかけて、経済発展とともに国民の考えも少産少死へと移行し始めていた(50頁)。満州への移民事業が人口過剰問題解決に向けた決め手とはなり得ない現実を直視せざるを得なくなった日本(77頁)。
2016/05/25
ほじゅどー
★★★日本の出生数の減少に歯止めがかからない。どうして日本はこんな状況に陥ってしまったのか。文明の成熟を理由とするなら、なぜ先進各国の中で日本だけが特異な状況であるのか。これらの疑問を解くヒントが年間出生数の推移表にあった。戦後のベビーブームが産児制限(調節)という国策によって3年で終わらせられていた。そこにはGHQの巧妙な仕掛けがあった。日本が戦争に突入した原因の一つを戦前の人口過剰と考えていた米国は、日本の産児制限を合法化すべく加藤シヅエを利用し優生保護法を成立させたのである。
2017/07/08
Taka
明治以降における日本の人口政策を時代を追って辿っていき、その結果を検証していく話です。 現在の少子高齢化の流れは昭和49年に出された方針によるものだそう。このままでは日本は…という結論です。
2017/11/25
funuu
「日本の人口減少はGHQが仕組んだ陰謀」説。さすがに無理があると思う。「アジアの新興国を見ると、まず人口13億の大国である中国は1.62。経済発展して久しいシンガポールは日本を大きく下回る1.20。マレーシアは2.03、タイは1.48。理想的な人口ピラミッドをもつインドネシアで2.36、インドはそれより若干低い2.32である。いずれの国でも出生率はこの50年間にほぼ半減しているのである。」まあ歴史の波なんだろう。
2019/01/05
マカロニ マカロン
個人の感想です:A-。江戸末期の日本の人口は3500万人で明治維新後富国強兵の時代を経て1935年には6925万人に倍増し、昭和恐慌で餓死する人々も多く、移民など人口抑制策に日本が向かった時期があったなど初めて知ることも多く、勉強になりました。戦後のベビーブームがわずか3年で終わったのはGHQの仕掛けた人口戦だったなととても興味深い記述も多く、現代の少子化の起源がわかり、歴代の内閣の人口政策の迷走ぶりもはっきり書かれていました。今まであまり語られていない日本の近代史として勉強になりました。
2016/03/20
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