人は死ぬから生きられる: 脳科学者と禅僧の問答 (新潮新書 307)
人は死ぬから生きられる: 脳科学者と禅僧の問答 (新潮新書 307) / 感想・レビュー
安国寺@灯れ松明の火
冒頭の「仏教というのは方法じゃなくて問いなんだ」という言葉にグッと引き込まれました。私はこれまで、僧侶と呼ばれる方々は生や死の問題については何らかの固定的な答えに到達しているイメージを持っていたので、「問い続けるための仏教」という姿勢は新鮮で、率直に驚きでした。現役の僧侶である南さんが「宗教共同体が常に危険をはらむのは、たった一つの答えがあるという前提で集まっているから」とまで言い切っているI章を読むと、「信仰」とは異なるアプローチで宗教と関わることもできるように思えてきます。(続く)
2012/03/19
Hitomi
正直いって細かい内容はほとんど理解できていない、と思うのにとても心惹かれるのはなぜだろう。生きるということに安心立命ということはない、など厳しいことばかり書いてあるのになぜだろう。 3つ目の章の直哉さんと茂木さんの真剣勝負のワクワク感が、ライブで対談を聴いているような錯覚もよかった。
2012/10/02
さっちも
クオリアを語る茂木さんがあまり好きじゃなかった。この対談を読んで茂木さんが踏み込んでいる領域と思考がおぼろげながら分かって、興奮を感じた。集団に依拠した生き方を「人生を質に流してしまった」というような表現をしていた。自分の人生今まさにそれだ。自分なりの生き方を可能にするのに、かなり多くのヒントをくれる本だと思う。
2015/12/03
白義
南、茂木、両者共に、二人の固有の領分である宗教と科学から微妙にはみ出た場所で自我と死という問題について考えている雰囲気がある。特にこの本は南直哉が対話をリードしていて、死後や霊魂に対し無記、無回答を貫く仏教哲学者としての側面と、おばあさんに死語の生に聞かれたら極楽はあると答える実践者としての側面、両方に踏み込むゆえの葛藤というものがよく伝わってくる。言語と身体の境の領域、存在へのアクセスを大切にしている。といっても、全体的には軽く読めるのであまり構えることもないだろうけど
2011/11/23
ゆう
「生きることを質入れしている」という言葉に深く感じ入った。この世の中には生きることの大変さを回避するための装置がたくさんある。装置というのは、物語という言葉を使っても良いかもしれない。誤魔化すための物語。しかし、本当に「生きている」ということのためには、安易な方法に逃げるのではなく、破綻していようとも、生を引き受けることが大事。対談本ながら、ハッとする言葉が多くて、いろいろ考えることが出きる良著。
2009/12/17
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