安部公房全作品 6
安部公房全作品 6 / 感想・レビュー
蛸墨雄
『砂の女』と『他人の顔』が入っている号なんだけれど、女は文庫本で読んだので端折りました。顔すごいの一言。なんだろう、こんなに力ある作家いるのかというくらいの筆圧と腕力と性力あふれかえっています。ある意味「覆水盆に返らず」位のイキオイではないかと思っていまします。これスラスラ書いているのかなぁ。だったら、嫌だなぁ。難産であって欲しいと思う作品です。
2017/12/20
Mentyu
『砂の女』と『他人の顔』、共に理不尽で不条理な状況に陥った人間の心理を描くのが本当に上手い。砂の中に閉じ込められる、あるいは顔を失って仮面をつけるという設定までは普通の小説家でも到達できるかもしれない。でもそこから先の心理描写は安部公房の独壇場という感がある。『箱男』や『壁』もそういう作品であったし、安部作品の肝はやっぱりそこなのかなと思う。
2017/11/19
ロロ
表題作のみ読了。家をつぶすかもしれないじっとり湿った雪のような砂を掻き出し続ける日々に、生きるのは本当はこういうことなんだなと。現実ではあり得ない設定なのにまるで夢のようではなく。非常に現実的。
2014/06/13
723
砂の女は砂が砂じゃなくなって、なにか圧倒的な力を持って主人公に挑む生き物のようです。結局すめば都なんでしょうか。人間の心持ちってそんなものでしかないのだろうか。他人の顔は、社会における人間の存在って何に帰依しているのか、自分という存在は何なのかということを考えさせられる作品でした。最後の「おまえ」の置き書きの言葉がすきです。
2011/11/18
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