安部公房全集 23 1970.2-1973.3
安部公房全集 23 1970.2-1973.3 / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
自分が生まれた頃の作品に注目したい。講演録「人間の価値—自分自身の問いから自分自身の答へ」で、人間には何を要求されるかといったら、解答能力ではなくて問題提起の能力です(18頁下段)。今も色褪せないどころか、益々重要な能力であることに驚かされる(70年2月10日)。人間というものは、新しい血、古い今までの関係でない、それは拒否していいのです(22頁下段~)。人間関係の難しさを当時も感じておられたのだろう。
2021/04/05
mstr_kk
安部公房についての演劇ワークショップで、「安部システム」を復元して試してみるというプログラムを担当するため、再読しました。この巻は「安部システム」の演劇理論がメインになる巻といって良いでしょう。「新劇のあり方(特に演技)への不満」と、「ひとりの芸術家として、文学に還元されない新しいタイプの演劇を作りたい」という気持ちから、「安部公房スタジオ」という劇団および「安部システム」という方法を作るに至った安部。その意欲とエネルギーはすごいと思います。そしてやはりとことん頭脳明晰です。
2015/01/19
roughfractus02
帰属と暴力/大阪万博で国家や民族別のパビリオンに人々が繰り出す光景に、彼は人々の土地への愛着が国家の法に触れない程度で滞留し、あるきっかけで暴力的に噴出する光景を二重写しする。島を愛する人々が殺人を繰り返す「未必の故意」が上演され、帰属批判を展開する『箱男』の予告が書かれ、同じテーマの講演も行われた。コードを決めてプログラムはその場で変更可能な偶然劇「ガイドブック」が上演され、物語への帰属が強い俳優たちへの異化の教育が始まる。彼の異化へのこだわりは演劇の改変に向かうが、非同期のテーマへはまだ踏み込めない。
2017/02/19
むん
高校の現国教科書で読んだ「空飛ぶ男」が載っている。「飛ぶ男」の文庫版を出す時は、この「空飛ぶ男」も巻末に掲載してほしいのは僕だけだろうか。
2012/10/20
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