大江健三郎小説 1
大江健三郎小説 1 / 感想・レビュー
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『芽むしり』前後の初期傑作群が同性愛ばっか描いてて、59年あたりで「結婚したくないよ〜」という気持ちがむきだしの凡作を弄し、やっと異性愛を描いた「上機嫌」はヘンリー・ミラーを模倣したような超駄作、その後なにか吹っ切れたのか結婚後は作品の水準も上がってゆく――と、改めて読むと大江の「個人的な事情」がとてもよく伝わる。「上機嫌」の稚拙な比喩はほんとに酷くて、これを40枚の短編にすると村上春樹になる。つまり20代の大江の最低水準がその後の日本文学の平均以上だという、やっぱり大江健三郎ってすごいじゃんという話。
2015/06/20
耳クソ
文学、臨界点を突破
CBF
(★★★☆☆)「芽むしり仔撃ち」をはじめ、主人公が兄・サブ主人公が弟(または弟的存在の年下の男の子。主人公のことを慕う純粋で守るべき存在として出て来る)という話が多くて、著者自身の生い立ちに関連してるのかなぁと想像しながら読んだ。文体が独特で読んでると疲れてくるけど、何となく癖になる。「ほんとうにおれたちの日常には何も異常な事件はおこらないのだ。おれたちは切実な限界状況からまったく隔絶されている。」「ぼくは二十歳になったばかりだったし、人間的なつながりを殆どこの現実世界のあらゆるものに求めていた。」
2016/11/12
wakabon
初期の短編はまだ物語の輪郭が明確で読み易いが、紋切り型の物語の枠に納まることを回避しようとする作者の筆致により、独特の読みにくさが既に表われている。ただ、この読みにくさは決して難解なものではなく、作家が作品の成立に真摯であろうとするが故の文章の濃密さから生じるものなので、いったん慣れてしまうと抗い難い魅力に引き込まれてしまう。ところで「セヴンティーン」の第2部は、いつか読めるようになる日がくるのだろうか・・・。
2014/08/24
モーリス
おもしろい
2009/09/09
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