三島由紀夫全集 補巻 決定版 補遺
三島由紀夫全集 補巻 決定版 補遺 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
反則技という気もするが、三島忌にあわせて、全集の補巻から「愛の処刑」を。この小説は発表誌が異色で、解題によれば男性同性愛の会・アドニス会の機関紙の別冊「APOLLO」5号に榊山保の筆名で発表されたらしい。さすがに三島(当時35歳)も、この作品を三島由紀夫の名前では発表しづらかったのだろう。もちろん、真性の男色文学。しかも、サディズムとマゾヒズムが交錯する凝りよう。背後には『サロメ』と『ロミオとジュリエット』が仄見えたりもする。タチの側もネコの側も(男色でこう言うのかは不明)満足させるように書かれている。
2014/11/25
harass
同性愛雑誌に変名で載せた小説『愛の処刑』が目あて。二段組で15ページほどの短編。『回想 回転扉の三島由紀夫』で知り記憶に残っていて図書館にこの補巻を見つけ読む。三島作品の強烈な部分がこの作品にもでてくるがこれは男性同性愛のお決まりのモチーフなのかと…… 美少年・M毛・切腹・心中・マゾヒズム
2016/06/10
南包
『愛の処刑』のみ読む。 榊山保の名で書かれた戯作。 三島由紀夫らしい振る舞いであるか。 切腹場面は『憂国』だ。 中日文化センター、諏訪哲史氏の講義で知り全集を図書館で借りる。 決定版 三島由紀夫全集 補巻 発行 2005年12月25日 著者 三島由紀夫(みしまゆきお) 発行者 佐藤隆信 発行所 株式会社新潮社 東京都新宿区矢来町七一 〒一六二-八七一一 電話 編集部 〇三-三二六六-五四一一 読者係 〇三-三二六六-五一一一 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 加藤製本株式会社 製函所
2015/12/30
めめめ
率直に言おう、「愛の処刑」のみ読んだ…って皆さんも同じですね(笑)まさにミシマのはらわたをぶちまけられたような気分。迸るエロスとタナトス。
2017/05/17
「愛の処刑」はこれだけしか読めないのがもったいない。だが、三島が隠したい気持ちも分からないでもない笑 エログロ性癖モロ出しだもんな。最後は「憂国」や「奔馬」などの「文学的」な(つまり、高尚な)切腹描写から表現から大きく逸脱して「サブカル」的な想像力(つまり、キッチュさ)が爆発しているのも面白い。三島由紀夫は良くも悪くもサブカルで、キッチュな作家であると思うので、三島らしさが最高度に濃縮されている。
2020/01/05
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