小林秀雄全作品 (1)
小林秀雄全作品 (1) / 感想・レビュー
ころこ
『様々なる意匠』誰もが感じる読後感「想像していたよりも明快じゃない」何が書いてあるのか分からない文章が続きます。はっきりいって、あまり面白くありません。しかし、その後の文芸批評家が分かり易く書くようになったのは、著者の分かり難さがあったおかげだといえるかも知れません。とはいえ、文芸批評の最終走者、柄谷行人も一文一文は「見栄」を切って分かり易く書いてはいますが、大意としては書いてあることの分かり辛さによって伝えようとする節があることから、日本の文芸批評とは元来この分かり辛さに込められているのかも知れません。
2022/03/17
tonpie
正月なので、「日本近代文学の初心」を読んでみようかと思い、手に取った。「様々なる意匠」のみ。 昭和四年の「改造」懸賞評論の二等入選。この時の一等は後の日共の宮本顕治「敗北の文学」(芥川龍之介論)だった。 ともかくエキセントリックで読みにくい。どこから球が飛んでくるのか分からないので、四方八方を守備しようとすると、いきなり超精密な議論が始まり、論理を辿るだけでクラクラしてくる。これぞ教養主義エリート文体の極み。傲岸不遜を絵にかいたような小林秀雄青年(27歳)が、自分の頭の中身を開陳してくれます。↓
2024/01/03
やましん
学生時代に小林秀雄の「考えるヒント」を読んでいて、いつか全作品集を揃えて読みたいと思いボーナスで購入。第1巻は1922~1930までの作品で処女作の「様々なる意匠」も収録されている。自分が読書をする時は、いいこと言ってるなあと思う箇所にマーカーと付箋をつけるのだが「様々なる意匠」が好きすぎて振り返ってみるとマーカーを引いている箇所の方が引いてない箇所よりも多くなってしまった。どの文章も難解だが著者の述べるとおり、複雑だが大して現実に即していないことを書くよりも、簡単なことを表現する方が遥かに困難なのだろう
2022/08/21
mikky
小林秀雄の初期作品を収録。『改造』の懸賞評論にて入選し、世に出た『様々なる意匠』をはじめとして、それ以前に書かれた『測鉛』や芥川の自殺直後に書かれた『芥川龍之介の美神と宿命』、また小説までが(!)収められています。 ここでは評論を取り上げますが、改めて読んでみると、小林秀雄は最初から小林秀雄だったのだなあ…とつくづく思わされます。表現としてはやや難解と感じるところもあるのですが、言わんとしていることは恐ろしく的確であり、意味を解せばその独特の言い回しもこれ以上ないものに思われる。純粋に面白かったです。
2023/06/11
あつ子🐈⬛
時おり本棚から出してパラパラ読んでいます。難解で苦手な本もありますが、小林秀雄さんの難解さはしみじみ好き。たまにハニワ顔になりますが(笑)「芸術家にとって最も驚くべきは在るが儘の世界を見るということである。勿論或るものは可見世界を幻想とするだろう、或るものは幻想を可見世界とするだろう、見るものは常に一つではない、それがこの世のものであろうがこの世のものでなかろうが関する処ではない」「芥川氏は見る事を決して為なかった作家である」「彼の個性は人格となることを止めて一つの現象となった」『芥川龍之介の美神と宿命』
2023/03/24
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