ランボオ詩集 小林秀雄全作品〈2〉
ランボオ詩集 小林秀雄全作品〈2〉 / 感想・レビュー
袖崎いたる
名高いランボーの詩の小林秀雄訳が収められている。で、読むわけだけれど、どうにも喚起するものがなかった。以前、鈴木創士訳も読んだことがあったが、どうにもぼくは散文詩の楽しみ方がよくわからないらしい。感性が芽立つのを待とう。著者いわく、「歌とは、敗北を覚悟の上でのこの世の定め事への抗言に他ならぬ」らしいから、先ずは定め事の感得が大切になるのかな。しかし、文藝評論というやつは、作品という命題のあるひとつの像としての“美しさ”や“感動”を頼りに論理の結構を構えるから、どうにも感想者の魔法的な感じが醸されるね。
2015/12/08
やましん
いつかのボーナスでまとめ買いして本棚にしまっていたが、ほかの本をどんどん買うのでやっと2巻読了。主にランボオ詩集の地獄の季節の和訳だが、読んでも全く響かない。確か学生時代に文庫版の考えるヒントの4巻にも収録されていて当時もさっぱり意味がわからなかったのだが、およそ5年の月日を経ても私のランボオを味わう感性は養成されなかったらしい。当時の小林秀雄は、かなりランボオを絶賛していたので彼の琴線におおいに触れたのであろう、羨ましい限りである。巻末の「宿命」の解説は著者の中核をなす概念を理解する上では必読。
2023/06/26
カンジ
「私は本は勉強以外には読まぬ覚悟をしているだけです。遊びたい時には外の事をして遊びます。凡そ、本を読むなどというとぼけた、愚劣な遊びは御免なのであります。作品を勉強の為に読むとすれば、必定、作品を通じて作家の心に推参したいと願います。作家の個性的な心情を、或いは個性的な体系を明らかにしてくれない様な作物は、私には何の興味もありません。」これは何処かで誰かが言っていて成る程と思ったけど、これだったか!こう、言い切った小林秀雄の潔さというかなんというか。やっぱかっこいいな、といつも思う。
2017/09/26
ダイキ
大学図書館。「嘘をつくからいけないのだ。己れを語らうとしないからいけないのだ。借りもので喋つてゐるから種切れになるのである。身についた言葉だけで喋つてゐれば、喋る事がなくなるなんて馬鹿々々しい目には決して会はぬ。借りもので喋るとは言葉への冒涜である。」(近頃感想)
2016/05/18
うさぎさん
大学の卒論としてランボーを扱った氏による翻訳詩集と雑誌に掲載していた論集によりなる。 ランボーに触れるべきと本書を手に取ったものの、詩の楽しみ方が分からず撃沈。一方で評論は面白く、特に「評論家失格」は30歳頃の氏の世の評論家および自身のポジションについての考えが標語のように述べられていて楽しい。本全集の1巻では辛辣な書評が多い中、本巻の「横光利一」は絶賛で今まで知らない作家だったが読んでしまった。
2022/09/23
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