小林秀雄全作品 13
小林秀雄全作品 13 / 感想・レビュー
再読。心理主義に対する批判は、初期の堂々巡りの思考過程に対する自己批判とも言えるし、事変の其の前後を好機に、具体的に言えば『ドストエフスキイの生活』から始まる「歴史」と「文学」の考察が前面に出てくる。ある意味では、小林という「聡明な」モダニストが辿った道筋は、別に彼固有のものではなく、エリオットや、パウンドといった名前を挙げれば十分だろう。全てを相対化した挙句に「歴史」という核を掘り当てた、とも言える。ただ、小林の初期の批評に比べると何処を取っても金太郎飴的なのはどうしたことだろうか。
2023/08/18
masanari
「事変の新しさ」は歴史小説のように面白い。豊臣秀吉が朝鮮出兵で失敗したのは、老いたからではなく、彼の培った経験のせいだという。この本全体として理論と現実の真ん中に立つという一見もっともな説を批判している。そんな発想自体が空想なのだと。ではどうすればいいか。理論と信念を一体化させろという。その意味をこれから考えていきたい。
2021/05/08
devour
目を覚まされる。例えば、「歴史過程を、空洞な眼で観察して、その発展過程には、確かな必然関係があるという事を見付けて現代人は安心している、歴史にでたらめや偶然があっては、まことにわけが解らず不都合だが、必然と解れば安心なものである、と言う。安心しているとはおかしいではないか。どうにかしようとするのにどうにもならぬ、と解って安心するとはおかしいではないか。」
2010/05/02
MatsumotoShuji
031111
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