小林秀雄全作品 18
小林秀雄全作品 18 / 感想・レビュー
MatsumotoShuji
040409
再読。「詩について」が興味深い。浪漫主義の「自己告白」から自然主義に至る過程に於いて、主観の拡大を客観的な言葉によって「正確に」定着させてゆく運動(「リアリズム」)は「表現」から「描写」への移行としてある。それは、言葉という本来は不透明な対象を透明な対象として抑圧/隠蔽することである。象徴詩派は、そのような浪漫-自然主義に抗う「個性的な内的な現実」、言葉の屈折の中にしか表象=代行できない「詩魂」としか呼べないようなものである、と。
2023/08/21
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