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川端康成全集 第10巻

川端康成全集 第10巻

川端康成全集 第10巻

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
1980-04-01
ISBN
9784106438103
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川端康成全集 第10巻 / 感想・レビュー

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白猫の単語

「少年」には、美意識や死生観など、作者の作品に共通のテーマの源があった。幼児期から少年期にかけての家庭環境はこうも人格形成に影響を及ぼすものなのかと恐ろしくなる。特に宮本少年のように感受性の強い子供には生きることがさぞかし辛かったことだろう。 劣等感の塊だけど自我が強くて、虚栄心が強い、思春期の少年少女特有の心の動きの全てを言葉にされると痛々しくて気恥かしくて妙な気分になる。少年時代の秘め事を作文にして学校の課題として提出した作者にも、寛容な一高にも驚く。踊り子がレモン味なら少年は水蜜桃味。

2016/11/16

瀬々

『お前の指を、手を、腕を、胸を、頬を、瞼を、舌を、歯を、脚を愛着した』。「少年」の一節です。とてもエロティックな表現だなと思いました。倒錯的で、耽美で、禁忌的。この考え方は一緒に収録されている舞姫や雪國に通じるものがあるのではないかと考えます。この一節ほどあからさまではないけれど、きっと川端康成という人物の根幹であるのだろう「少年」がその後の作家人生に影響を及ぼしていないとは言い切れません。図書館で取り寄せてまでしましたが、読めて良かったです。

2016/03/30

zoros

『少年』のみ読了。偶然にも最近読んだ『伊豆の踊子』物語について、川端の思い出とともに解説したところがあり著者の世界観を知れてよかった。 家庭に恵まれないで育った宮本(川端)と、父親が教祖の新興宗教家庭で愛情いっぱいに育った少年と愛しあった思い出を、50歳の宮本(川端)が気持ちに整理をつけつつ、理性的にみつめています。非常に自分自身を客観的にみており、その深さと鋭さには驚きます。私はノーベル賞までとった川端作品の良さがわからなかったのですが、これを読んでから興味がわきました。

2017/08/31

芳樹

目的の『少年』のみ読了。この作品と併せて『十六歳の日記』も読んだ。『伊豆の踊り子』は未読だが、追々読みたいと思う。『湯ヶ島の思ひ出』を下敷きに『伊豆の踊り子』と『少年』が書かれている。上記の三作は読めるが元となった『湯ヶ島の思い出』や手紙などは焼却されたらしく読めないのが残念で仕方無い。 後半は下級生、清野(仮名)少年との中学〜二十二歳までの交流が書かれているが、宮本(川端)が卒業してからの清野少年の手紙を見ると、女性的と書かれている事にも納得出来る。同時に無垢過ぎる信頼と神への傾倒に少し恐く思える。

2014/09/10

瀬々

「少年」を再読したくなったので図書館で借りてきました。相も変わらず耽美で廃退的で美しいです。絶版で中古価格も高騰しているので再版してほしいのですが難しいのでしょうね…

2020/03/17

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