風雪 (山本周五郎テーマ・コレクション)
風雪 (山本周五郎テーマ・コレクション) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
一年余の病の末に亡くなった老妻。藩の年寄役として千石賜る家の「奥さま」として、のびやかでおっとりしていると思っていた妻。そっと握った痛ましいほど荒れた手は、知らなかった老妻の一面。実の母親を喪った以上にむせび泣く、妻に仕えた者たちの声・尽きぬ誦経に、妻の形見分け為そうとする六十四歳の主人。箪笥から取り出される衣類は全て木綿。洗い抜いて色は褪め、丹念に継ぎをあてた粗末な衣類の他は、御髪道具が一揃いあるのみ。妻に仕えた婢頭のそよ「これまで私達お末の者が、祝儀不祝儀につけて頂いた物は、それぞれ新しく→続
2015/05/31
文庫フリーク@灯れ松明の火
【感想2】藩主の御用人として二十年近く藩政の実権を握り、冷酷・苛烈な圧政で怨嗟の的であった新藤主計。佞臣・主計を除こうとして失敗し、切腹させられた父。その遺志を告げ、懐剣遺し逝った母。密かに老職の家に引き取られ育った娘・都留に命じられたのは、藩主の死による家督相続により職を解かれ、累年秕政の裁き待つ主計の身の回りの世話。剣を懐に秘めて目通りした父の敵は、小柄で痩せた老人。貧しい農家の老翁の如き粗末な着物と袴。卵も魚も鳥の肉も箸をつけず、飯は麦飯。着物の綻びも、不器用な手つきながら巧みに縫い繕う主計。→続
2015/05/31
剛腕伝説
山本周五郎・テーマコレクション、テーマは風雪。何か大事なものを胸に秘め耐える人々を描いた作品。国に対する想いを秘めて処刑場で涙を見せた、橋本左内『城中の霜』、夫の城勤めが滞りなく遂行できるように倹約を重ねた老妻『松の花』等々。 まるで戦時中の修身を思わせる話が多かった。ここしばらく、山本周五郎の時代ものを読んだ影響で、今YouTubeで『ぶらり新兵衛道場破り』を観て楽しんでいる。
2024/11/21
山内正
徒士で武功も無く戦場で生きて還る 全滅した隊でも血刀持って還る 戦場での鉄砲は百に一つ当ればと 他の兵も真似て隊の様子が違うと 三十人頭と引立てられた 長篠の戦いに偵察に源八郎二人と 闇の山の中を 音しか解らない 敵兵と偽り本陣へ案内しろと 陣構えを聞き出す 三日後の評定の時攻め口は何処だ 源八郎の偵察地を挙げる 鷹の巣砦を夜襲で取るが逆襲され ここからぞと戦い続けた 砦広場で死体の山に源八郎はいない あ奴も不死身でなかったかと将が 林から兜を抱え折れた太刀を片手に どうした源八郎と 兜を取り返しにと
2020/09/02
山内正
藩から扶持を貰い村塾を志保が 父の命日に藩士が訪れる 一生結婚出来ないと暮らす 訪れる声が 妹が子と夫で これから長崎へ行きます 普太郎を預かって欲しいと 三年して妹が帰った 夫が召抱えに 江戸に翌朝立った 数年して江戸から手紙が来た 弟が死んだ どうか普太郎を返して欲しい 勝手過ぎます余りに 志保ももう見れないのかと考えた 江戸へ行く方が良いと思います 本当はここが良いのですが でもいたいと言うのは我儘だと 思います かか様が武士の子なら 嫌な事も従わなければと教えてくれましたから
2020/09/03
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