山本周五郎長篇小説全集 2 樅ノ木は残った 下
山本周五郎長篇小説全集 2 樅ノ木は残った 下 / 感想・レビュー
ジュール
旧知の人々と離反し、敢えてお家乗っ取りを図る一ノ関の与党となった甲斐。たくさんの犠牲者を出しながらも仙台藩60万石を守るため全てをかける。 抑制の美学。 大昔の本だが素晴らしい。
2023/10/28
やまもと
大河ドラマになっただけあって、長い年月をじっくり読んだ。「伊達騒動」を知らない分、すっかり原田甲斐の忍耐強さ、最期の思慮深さに共鳴した。真実はどうだったんだろう。図書館で山本周五郎全集を発見、贅沢に全部読みたい。
2018/10/12
鉄鍋
昭和45年のNHK大河ドラマは、自分が幼かったし只々、平幹二郎演じる原田甲斐の暗い物静かな演技が虫が好かずあまりにも印象が薄かった。(画面自体平清盛同様暗かった) 地元では逆臣と毛嫌いされてきた甲斐の印象だがさすが山本周五郎はその物静かな中に御家を守らんとするメラメラとした内なる炎の甲斐像を素晴らしく描き切っている。(鹿との執念の対面が最も甲斐の人物像を表現していると思う) 寛文事件の真相をサスペンスタッチで紐解いていく筆致にドキドキしながら一気に読破してしまった。
2019/07/10
Yoko Narano
山本周五郎は『さぶ』『五辯の椿』ではラストがちょっと駆け足かなと思ったけど、この作品は本当にじっくり書ききった感じ。まさに代表作で、素晴らしかった。上巻と比べてみんなの境遇が変わっていくのがつらい。七十郎や甲斐が云う、「世間の評をたやすく信じ、扇動に乗せられて、自分は正しいと思い込んですぐ人を斬る」とか、「何の統一も秩序もなく、われがわれがと自説を固執し、お家のためと言いながら自分の意思を押し通そうとする」云々は、今の世にも当てはまる警句。にしても原田甲斐が魅力的で、これからもずっと心に残ると思う。
2017/10/29
寿里子
周五郎が描く理想の武士の姿。本当の原田甲斐はどんなだったのでしょうね。個人的には「ながい坂」の主人公の方が好きですけれど。
2017/05/26
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