山本周五郎長篇小説全集 第四巻 小説 日本婦道記
山本周五郎長篇小説全集 第四巻 小説 日本婦道記 / 感想・レビュー
たつや
直木賞を辞退したという伝説の作品は、連作の武家の江戸の女性の素晴らしさを表現しているが、各話が内容が濃く、読み終えるのに時間がかかった。「松の花」は藤右衛門が主人公ではなく、あくまでも、亡くなったやすが主人公のようだ。読めば納得ですが、コンセプトの素晴らしさを堪能できた。下段の注訳も、大いに助かりました。また忘れた頃に読みたい本。
2017/06/19
小瑠璃
勤め先の偉い人にすすめられて読了。ただ、きっかけがそれだったことで、私とこの本の出会いは少し不幸なものになってしまったかもしれません。美しく気高い婦人たちの生き様に魅せられるも、なんだかどうも切なくて、哀しくて…。間違いなく立派である婦人達は、果たして幸せだったのかと考えると、安易に答えが出せない。対個人よりも、藩や家への忠義が重視されているせいかなぁ。こんな風に素直に受け止められないのは、年配の男性に勧められたせいかしらと、なんだかもやもや。「柳橋物語」の幸太さんは大変良かったです。
2014/11/07
訪問者
太平洋戦争中の話である「花の位置」を除けば、いづれも傑作。「笄堀」の真名女はあまりにかっこよすぎだろうが、作中の白眉はしみじみとした味わいと余韻が残る「桃の井戸」だろう。
2017/05/26
たつや
山本周五郎の女性を主人公にした連作短編小説集。ひとつひとつの話が内容が濃いので、読了後の余韻が凄い。他の本と、併読したので時間もかかったが、直木賞を辞退したという伝説的作品なので、後世まで読みつがれて欲しい一冊です。
2024/07/16
マウンテンゴリラ
様々な時代背景、シチュエーションの異なる女性を主人公とした短編集。それぞれに感動があり、現代に対する教訓、逆に、過度なまでの自己犠牲の意味といったものまで、様々に考えさせられる作品集であった。そんな中で、感動を覚える共通項として、無私、覚悟といったことが感じられた。あまりにも現代人が彼方へと忘れてしまった、これら二つのキーワードを今一度、個人の心に、社会の中に呼び戻す必要があるのではないだろうか。確かに本作品集の中には、武家の主婦や息女の話が多く、家や夫、婚約者を立てる余り、自らを犠牲とした人生→(2)
2016/09/15
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