山本周五郎長篇小説全集 7 赤ひげ診療譚・おたふく物語
山本周五郎長篇小説全集 7 赤ひげ診療譚・おたふく物語 / 感想・レビュー
ノシメとんぼ
途中までしか読めていなかったので初めて完読。結末を書ききらずともその先を自分で想像できる小説は何冊もあるけれど、この小説のどの話も、書ききらずとも自分で想像しなくて良いという風に感じるような、ある種さっぱりした読後感だった。時代小説にしてはかなり読みやすくて、慣れてない自分としても楽しく読み終わることができた。
2020/05/20
マウンテンゴリラ
二編とも、それを表現する言葉が出てこないほどの感動を覚えるとは正にこの事か、と思えるほどのさすがの名作であった。山本周五郎の作品はこれまでも素晴らしい感動を与えてくれたが、話の粗筋さえ忘れてしまったものもある。そんな私にとって打って付けのシリーズがこの長編小説集であった。全二十六巻の読破が出来るかどうかはわからないが、それに取り組む価値は十分にあると感じた。気のせいかもしれないが、近頃、著者の作品が、多くの人に読み直されているのではないかとも感じる。→(2)
2016/06/03
たつや
贅沢な二本立てでした。赤ひげに翻弄されながら成長していく保本が力強く描かれつつ、貧困層に優しい赤ひげ。おたふく物語の人間味溢れる描写は実に山本周五郎らしさが、表現されていて、お煎餅と日本茶を飲みながら!スイスイ読了した。
ひより
ちと怖いが熱心な赤ひげ先生と、その養生所に入れられ、イヤイヤ勤めていた登。 登がある時からきちんとするのがほほえましい。 「おたふく物語」は、苦労を重ねてきた姉妹が、それを感じさせない明るさをふりまいていて、彼女らに幸あれと願うばかり。 ★3
2023/02/07
みけのすずね
山本周五郎氏の全集から。赤ひげ…幕府の御目見医を目指していた登だが、庶民の療養所で去定の見習医をすることになる。病との戦いについてではなく、貧困の中で庶民が苦しむ事情や事件に巻き込まれながら、真実を知っていても徒労に終わる事の多い仕事を引き受ける覚悟をしてゆく登の物語に引き込まれた。温床でならどんな芽でも育つ、氷の中ででも、芽を育てる情熱があってこそ、しんじつ生きがいがあるのではないか。おれはここに残るよ。仁術どころか、医学はまだ風邪ひとつ満足に治せはしない。おまえはばかなやつだ…一人一人の心構えが大切。
2020/03/22
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