山本周五郎長篇小説全集 12 ながい坂 下
山本周五郎長篇小説全集 12 ながい坂 下 / 感想・レビュー
訪問者
「樅の樹は残った」に匹敵する傑作。主人公の責任感と生き様には圧倒されるものがあるが、最後の主水正の滝沢兵部に対する行為は、初めて読んだこの作者の短編である「山椿」を思い出した。
2017/05/23
マウンテンゴリラ
平凡な家系に生まれた一人の侍が、自らの努力と才能によって、波瀾の人生を駆け上がって行く。一見、そのようにも捉えられる物語であるが、そこにつけられた「ながい坂」というタイトルに込められた意味が、後半に至ってより理解できるような気がした。決して、順風満帆、一直線の坂ではなく、紆余曲折を経、苦悩に満ちたという意味での、文字通りのながい坂であったろうと納得させられた。そこには、作中において主人公の師匠が言った、自分が選び取った道という言葉が信念として貫かれているように感じた。→(2)
2016/10/05
シンチャイナ
山本周五郎生前最後の長編との事であるが、何か最後は上手くまとめた感が拭えない。
2022/05/22
寿里子
10年ほど前に読んで、主人公のストイックさになんとなく「男はこうあるべきだなぁ」などと思った記憶があるがストーリーはすっかり忘れていた。今回は頁をめくるごとに周五郎の人生観・哲学などが感じられ、震えがきそうなくらいだった。あらすじなんてどうでもいい、これぞ周五郎という本だった。どこかのサイトで毎年読んでいる方がいたが、わかる気がする。
2015/04/24
デントシロー
周五郎の人生観、死生観がにじみ出てる作品である。「樅の木は残った」に通ずる作風であるがどちらが先に書かれたものかと思いながら読んだ。最後に解説を読んでこの作品が周五郎晩年の作と分かりすべてが理解できる思いがした。三浦主水正の苦しみに周五郎自身の苦しみを投影している。出世物語、お家騒動を通して物語を展開していく中で人としての生き方を書いているが主人公の父母、兄弟に対する冷徹さは理解に苦しむ。
2014/04/26
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