山本周五郎長篇小説全集 21 虚空遍歴 上
山本周五郎長篇小説全集 21 虚空遍歴 上 / 感想・レビュー
たつや
今で言うと、ミュージシャンに惚れ込んだ女性と、彼の奮闘記?のような感じだろうか?売れないお笑い芸人が、上京するときも、こんな感じなのだろう?端唄と聞くとピンと来ないが、こう読むと題材が面白く読めました。まだ、下巻へ
2017/07/02
だまし売りNo
本書は明治や昭和から見た封建社会とは異なり、21世紀の現代人に響く内容がある。たとえば心中物の芝居に対する批評が登場する。そこでは「「人間が死のう」と決意することくらい絶望的なものはないのに、この浄瑠璃には二人ののっぴきならぬ気持や絶望感よりも、その死を「美化する」ことにかかっているようだ」と手厳しく批判する(上巻129頁)。現代人の感覚から心中物に感じる拒否感と重なるところがある。
2018/09/18
訪問者
これも傑作。浄瑠璃語り中藤冲也の物語だが、彼の浄瑠璃を慕うおけいの語りが要所要所に挟み込まれ、それがとても面白い。ただ、奥さんの父親の援助を拒否する冲也は少し真面目すぎる感じだ。だからこそ上方へ行くことになるのだが。
2017/05/06
マウンテンゴリラ
上巻を読み終えた現時点での率直な感想を言えば、主人公の生き方には魅力を感じるわけでもない。そういう面では、同じ周五郎の作品の中でも、赤ひげ診療譚、ねぼけ署長、さぶ、等々に登場する主人公の魅力に感動を覚える物語とはまた違った筋書きであるように思う。主人公を含めた人間の薄情さ、哀れなまでの自己愛、またその裏面としての軽薄なまでの人への信頼と絶望。そのような人間のどうしようもなさと悲しさが浮き立つという意味では、青べか物語や季節のない街等に近い作品と言えるかもしれない。→(2)
2017/02/25
デントシロー
上下巻を続けて主人公、冲也の人生観と行動を通じて仕事に理想を求める男の姿を描いているが共感できない。日常の生活している多くの人々から見れば自分の仕事を求める手段が旅と酒に溺れているだけで真摯に仕事をしている姿が見えない。小説の構成と主人公の生き様が矛盾しており何かちぐはぐな読後感であった。深く突き止めればどのようにも解釈できる内容である。
2014/11/20
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