山本周五郎長篇小説全集 第二十六巻 青べか物語
山本周五郎長篇小説全集 第二十六巻 青べか物語 / 感想・レビュー
かおる
山本周五郎が25~26歳のころに滞在していた浦安での体験を30年後に同タイトルで発表した。そこに住む人々の奇妙な生活は、30年という長い年月保留されることによって、ようやく理解され小説という形になった。生活者のアンソロジー、なかでも「芦の中の一夜」が好き。「ぶっくれ」の「青べか」に揺られ、読みかけの本を顔にかぶせて昼寝。。。いいなあ。
2022/04/06
訪問者
作者の若き頃を思わせる主人公が住む海辺の町の物語。時は昭和初期であり、幾分かのノスタルジーと猥雑さ。そしてまた「白い人たち」のような現代では考えられないような劣悪な環境下での工場労働と刃傷沙汰。あるいはまた、物語のここかしこに見える海辺の町のかなり赤裸々な男女関係。そこには忘れえぬ人々の住む世界が息づいている。
2017/04/21
ポン
沢木耕太郎『山本周五郎と私 青春の救済』 鋭い論評が興味深いです
2015/10/15
たつや
現在の浦安が舞台とは到底信じられないほど、人は強欲で底辺であるが、「季節のない街」同様に人間臭く、山本周五郎らしい一冊です。
2024/07/16
マウンテンゴリラ
肌で感じたことも、見たことも触れたこともない風景や人々。であるにも関わらず、懐かしさを感じる物語。これも山本周五郎の真骨頂の1つであったかと感じさせてくれるものがあった。時代を隔ててもこのような郷愁を感じさせる何かがあるのだろうが、それが何かを明確に言うこともできない。それが論理では割りきれない文学の魅力であるということをあらためて、というか、遅ればせながら感じることができた。一般的には、実証可能な論理を越えて共有される価値と言えば、まず宗教的価値というものがあげられるだろう。→(2)
2016/11/12
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