愛と死 (新潮CD)
愛と死 (新潮CD) / 感想・レビュー
星規夫
大学に入学した当初、これを読んで非常に感動した。小説を読んで号泣するという体験は人生で初めてで、文学にこれほどの力があるのか、と衝撃を受けた。今読み直してみると、流石に泣くことはないが、感情豊かに描かれる回想内での出来事と非常にあっさりとした地の語りとが非常に対照的で、愛と死、鮮やかな過去と全てが過ぎ去った現在、という対比が効果的になされていることに気付く。分量は少ないが、所々に巨大な空洞のようなものが潜んでいる。傑作ではないかもしれないが、やっぱり良い作品だ。
2014/05/07
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