最後のロマン主義者: バルベ・ドールヴィイの小説宇宙
最後のロマン主義者: バルベ・ドールヴィイの小説宇宙 / 感想・レビュー
ラウリスタ~
バルベー・ドールヴィイについて日本語で書いている本はほとんどない、この本はパリ10大学に提出された博士論文を元に1992年に出版されたもの。ドールヴィイの批評家としての姿、小説家としての系譜など、何から何まで勉強になる。フロベールとゾラによるレアリスムから自然主義への流れに反抗する、時代遅れのロマン主義者にして、悪口雑言の中にも鋭い批評眼を失わない稀有な批評家。サドやバタイユの流れで読むのも面白いだろうが、むしろ19世紀の文壇での「文学元帥」としての側面に注目すると、彼はどこにでも顔を突っ込んでいる。
2016/06/30
PETE
19世紀フランス文学の反主流に居続けた小説家・批評家の作品を、様々なモティーフから解明していく文学研究。とにかくこれが女性誌『マリ・クレール』の連載だったというのが信じられない。こんなハイ・ブロウな連載が、今の一般書店に流通する雑誌に掲載されるかと考えると、非常に厳しい。そして30年前とはいえ、中公が2000円でこの本を出していたこと。文庫で復刻してもいいと思う。
2023/02/11
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