斑鳩王の慟哭
斑鳩王の慟哭 / 感想・レビュー
りー
厩戸皇子=聖徳太子は、何故「太子」でありながら、大王になれなかったのか?この本の答は中継ぎとして即位したはずの推古女帝が、厩戸・馬子を圧倒する権力を持ってしまったから。しかも長期。還暦過ぎてもバリバリで政務を執るって、日本史習った頃にはスルーでしたが、今考えると驚異的。厩戸の描写が太子信仰から解き放たれて、とても人間臭く、面白かったです。上宮王家の奉じた仏教信仰はこの時代にはまだ新しすぎ、神々を祀る王家から見ると異端=危険な存在だったのた、と再認識。上宮王家の断絶は、その相克から生じたのだと思いました。
2018/10/05
春
上宮王家の滅亡。厩戸、馬子い推古の三つ巴の時代からその子孫、山背、蝦夷、入鹿の時代へと移りゆきます。山背の無念さ悲しみに心が打たれます。
2014/02/01
てり
「聖徳太子 日と影の王子」のその後の物語。昔読んだ少年向け伝記本でのイメージと違い、推古天皇が相当なツワモノとして描かれている。理想はあっても思い通りにならない厩戸皇子の葛藤は如何ばかりか。その後の山背王にも悲哀を感じる。聖徳太子といえば、日本史上で燦然と輝くビッグネームのひとりであるのに、なんとも言えない切なさを感じてしまう。
2021/06/10
まいご
二組の父子、勝者だが子の早折した母と敗者だが子に囲まれた母、権力者の男女、老い方、今際の迎え方。様々な対比が描かれるが、中でも二世の葛藤に目が向く。山背大兄王と蝦夷との違いはなんだろうか、敗者というなら厩戸も敗者である。黒岩古代史小説では魅力的な主人公・ヒロインが次の時代の物語では老害化していたり、人物の背景設定が変わっているのが定番である。誰を主人公にするかで人物の見え方も変わるということだろう。厩戸の物語では駄目息子の山背も、彼の物語があれば違った評価が出来るはず。
2019/09/19
エグラン
推古天皇が嫌な女帝として描かれてある。 聖徳太子の悩みの種。 作者が変われば、見方が変わる
2014/02/04
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