葛飾物語
葛飾物語 / 感想・レビュー
おぎにゃん
昭和18年から平成2年にかけ、東京葛飾に暮らす幾つかの家族の人間模様…ごく普通の人々の、ごく普通の悩みや悲しみ、喜びが淡々と綴られている…国家的陰謀も、宇宙人による侵略も、旧支配者の復活もない、劇的な人生すらもない。そんなただの「人情小説」である…だがしかし!この面白さは何だ?この懐かしさは何だ?この…人がこの世から去るシーンの、故人への哀惜と諦めとほんの少しの安堵感の入り混じった感覚は何だ?…人情小説の泰斗の描く、お薦めの名作である。
2015/02/10
腰越ヒロシ
墨田区向島に長く住んでいましたのでお隣葛飾の四ツ木立石あたりもよく歩きました。その立石に肩を寄せ合い立つ三軒長屋隣組の住人たちとその縁者たちで毎年賑やかに行ってきた法事の様子を戦争のさなか昭和18年から平成2年まで、次第に世代交代もあり場所も変わりなどあっても下町でともに苦しい時を過ごした結びつきは変わらず続いていく姿と重ねて描いた物語。半村良さんも今や懐かしい名前になりましたが葛飾のお生まれだったのですね。端正でかつ軽やかな文体で人情の織りなす機微が心に沁みました。
2024/04/20
あられ
戦中から平成まで、葛飾の長屋で寄り添い暮らした人たちの話。半世紀ほどの前の日本人には、こういう人がいたんだと思う。こういう肌触り、なんとなく理解できるので、これが日本人の気質なんだろう。
2013/04/08
遠い日
040424【読書ノート】評価★★★★
2004/04/24
もと
戦時中から昭和が終わるまで、葛飾にすむ数家族の変遷を描いた小説。久しぶりに半村良の語り口を楽しんだ
2024/10/05
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