嗤う伊右衛門
嗤う伊右衛門 / 感想・レビュー
優希
単行本で再読です。『東海道四谷怪談』を下敷きにした純愛の物語。民谷伊右衛門と民谷岩の心情の描き方が美しいなと思わされました。互いの想いを丁寧且つ曖昧に描くことで、読者側にその恋愛を委ねるのが独特ですね。その愛の重みに息をするのも辛くなりますが、だからこそ世界観に酔うことができるのです。愛し、憎み、歯車が狂いながらも紡ぎ上げるもの。純粋に愛するが故にほつれる糸が悲しみを誘います。
2017/07/19
勇波
鳥肌たった!「覘き小平次」と争う面白さ。。読んで良かったと思える作品です。伊右衛門カッケェ過ぎ。あの又市さえも霞むほど。時代や価値観を超越した本物のカッコよさを教えて頂いた気がします★
2018/08/26
藤月はな(灯れ松明の火)
今年のお初本は京極作品デビュー作品で始めます☆小学生の私を恐怖のどん底に叩き落した四谷怪談がこんなにも清廉で哀切な純愛小説になっていて大変、吃驚した作品でした。真相は藪の中で誰もが悪いとも言えないがお互いのことを思い遣るが故に奸計や思惑に嵌った夫婦の行先と最後の壮絶でしかし、この上もなく、哀切で美しく、涙ぐんでしまいます。
2011/01/02
Zann
★★★★☆東海道四谷怪談を下地に京極夏彦風味に仕立てた本作。この時代でしかあり得ない縁で結ばれた二人。無骨な愛し方の伊右衛門と病気で顔が崩れてしまったお岩の不器用な愛し方。究極の純愛をこれ以上ない素晴らしいリズムでの文章で飾り、慈しむ様に物語の中に引きずり込まれた。歪な直助、梅、喜兵衛、又座衛門の愛し方。又市の母へそして伊右衛門とお岩への情愛。人間の業に恐怖を感じ、それ以上の愛しさを感じた。読み終わってタイトルの深さを知る。(11)
2018/02/02
リッツ
【日本の夏は、やっぱり怪談】再読です~、やはり好きです!この物語。四谷怪談と言えば子供の頃お岩さんの映画を観てトラウマ気味、なのでこれはメカラウロコ。各登場人物それぞれからの語り、そりゃ色々と言い分もありましょう。それでも激しい!哀しい!そして限りない孤独と愛情。読み返してみればちょい不満なところもありますが、もうラストなんて私も思わずもらい泣き。そう言えば映画も美しく切なかったと思う~。
2021/07/05
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