神様
神様 / 感想・レビュー
Shinji
ホントに不思議な世界観です。頭の中で、ありえないと言うのは分かってるけど、読んでいるうちに何故かリアルに情景が浮かんでくる感覚がありました!実際、くまの説得力に嫉妬すら覚えるくらいです。くまが言ったように、人の神様は人に似たものなら、熊にも神様がいて熊に似たものなんでしょうね。「クリスマス」のコスミスミコが一番気に入ったかな!? けど… 途中で栞を挟むことが出来ないくらい惹き込まれたのは「離さない」の虹色のうろこに長い髪をした少し小さいあの人だな… 真夜中の海に散歩なんかいくもんじゃないね。
2015/11/24
chimako
あぁ、良い読書だった。くまとの散歩はのびのびしていて気持ちが良さそうだ。くまのお弁当はいかにも美味しそうで性格の良いくまとの別れは名残惜しい。居るのだか居ないのだかわからない梨の精たちの可愛らしさ、叔父さんの儚さ、河童たちの奔放さ、壺女コスミスミコの大失恋、えび男くんの哲学、猫屋 カナエさんのやり直し、人魚の妖艶……どのお話にもお別れが潜み、鼻の奥がほんの少しツンとする。大きな別れや小さな別れを重ねながら年を取り、やがて居なくなり、忘れられる。それでいい。佐野洋子さんの解説、最後に 「いいぞ!」と頷いた。
2018/03/15
美登利
これがデビュー作のようですね。川上さんの小説は多分他にも読んだことあると思うのですが、短編で、これはまた変わった世界観でした。まず主人公というか、一人称で語ってる本人が男なのか女なのか?読んでいると途中から何となくわかるけれど、名前が出てこないので判断し難い。初めの話もくま?本当に熊なの?と読み進めるとやはり熊のようで。私はパンのCMに出てくる(小林聡美さんと)あの着ぐるみのくまさんを想像してしまいました。不思議な気分になる読後感、そしてちょっぴり切ない気持ちになりました。
2014/05/29
とも
★★★☆くまが隣人になり一緒にピクニックに行く『神様』から始まり、梨の妖精から河童や人魚が登場する、9編の何とも言えず不思議世界のオンパレード。それぞれが、夢か現か幻なのかわからない世界は、最近であれば家守奇譚(梨木香歩)が、古くは遠野物語なんかが似通っているのか。ただ川上弘美が過去の文学的作品に対して新しいのは、性と食欲と酒が裏テーマというかおそらく作者の重要事であり女性のオヤジ的感覚が現代的でリアルであるかなではないだろうか。どちらにしても、現代的な文学/文芸作品として一級品である。
2016/07/24
らじこ
センセイの鞄が面白かったからこれはどうかと読んでみたけど、面白くて一気読み。なんだろうこの漠然としていて珍妙な設定。やけに存在感のある獣たち。河童の話はややエロティックだったが、熊と白い何者かにはほのぼのした。なんだかかわいらしい。特に熊は出てくる回数が多かったためにラスト寂しかった。もう少し長く彼との付き合いを見ていたかったな。思わず熊にほっこりさせられ惚れそうになってしまった。奇妙でシュールででも愛らしい物語に胸がときめいた。
2015/09/08
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