武揚伝 下
武揚伝 下 / 感想・レビュー
ゆみねこ
蝦夷ヶ島を理想の地に、榎本武揚の願いは西軍の武力と不運な天候の前に屈した。もしも武揚の理想が叶い北海道が明治時代に共和国となっていたら?想像すると楽しいが。やはり決断する時期を失したというのが残念。もう一度函館、五稜郭に行きたくなった。
2013/01/24
Haru
あぁ、面白かった!他の小説ではあっという間の出来事に書かれることが多い、旧幕府海軍脱走から箱館戦争までをじっくり堪能。慎重過ぎて優柔不断なイメージのあった榎本武揚だが、これを読むと彼の行動がいちいち納得できる。理知的で、本音と建前の差がなく、とにかく理に従って行動する。武揚と仲間たちが描いた「蝦夷共和国」は、ライス領事が言ったように「小さくても立派なライオン」だった。初めは「藩主に見捨てられた家臣を路頭に迷わせたくない」と立ちあがった武揚は、最後には蝦夷地に身分・人種を問わない新しい世の種を蒔いたのだ。
2013/06/26
りかん
上巻表紙の青い海に帆を張る船(開陽)に対して、下巻はマストが折れ黒煙を吐き満身創痍になりながら日章旗を掲げ続ける開陽。武揚の心情を現している。戊辰戦争にあってはことごとく天候に見放され、武運がなかった。国際法に精通し、なにごとも正攻法で進めようとしたが故に、好機を逃し続けたような気がする。しかし、本当にスケールの大きい、幕末から明治にかけての偉人であることに間違いない。
2011/09/21
ちゃま坊
後半はオランダ留学から戻り、鳥羽伏見の戦いから函館戦争までを描く。不運が続き敗軍の将となるが、その後希少な人材として明治新政府で用いられる。 日本の針路に大きな影響を与えた人物として再認識した。榎本の作った蝦夷共和国は戦後の中国と台湾の関係を連想する。
2015/11/17
ひらぱー
☆☆☆長い長い話でしたが、後半は一気に読み進みました。向上心、人望、冷静。地味ですが現世に生きていればいい政治家になったんだろうなと思います。
2015/06/21
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