白檀の刑 下
白檀の刑 下 / 感想・レビュー
扉のこちら側
初読。2015年358冊め。あとがきにある通り虚実入り交じっていて、それがよりリアルさを増している。音が鍵となる本作、中国語がわからないので原書が読めずに残念だが、訳も素晴らしかった。ニャオニャオ。陰惨な処刑話なのに、登場人物がどんどん魅力的になって、水滸伝を読んだ時のように楽しんだ。
2015/03/27
志ん魚
参った。濃厚で凄惨で哀切が爆発するような物語なのだが、緻密に練られた構成で盛り上げ、地方芝居・猫腔の唄いを交えたユーモアたっぷりの饒舌な語りで緩急をつける。だから感想は、「1頁残らず面白い」になる。莫言すごい。『四十一炮』と『転生夢現』も読まねば。ニャオニャオ。
2010/09/01
宮永沙織
ドイツの兵力に屈服し孫丙は捕まります。陵遅の刑を下す事を袁大人は孫丙の娘の義父に依頼。義夫は息子をデビューさせるべく死刑人に任命します。 刑の残酷さもさることながら、清末期に住む人たちの混乱が手にとるようです。
2011/01/09
メイロング
明治維新が起きなかった日本、マオチアンは下町演芸に読み換えると、一気に身近になる。敵であるドイツ人に謝り、中国人が中国人を処罰しなければならない不条理に飲まれた男の想い。彼を最高の「白檀の刑」で歴史に名を残してやろうという老いた処刑人の想い。父を想う娘の気持ち。その娘を想う役人の気持ち。それが最終章のラスト3ページで実を結ぶ。流された血はあまりに多く、まるで本のページの間からしたたり落ちてくるよう。
2010/11/25
umeko
残酷でも滑稽で、粗野でも美学があり、力強く儚い、矛盾と混沌の清朝末期を、「処刑」という強烈な素材で見事に表現されていて読み応えがあった。
2010/10/26
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