逃亡くそたわけ
逃亡くそたわけ / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
読み友さんレビューの「精神病院から脱走した男女のロードノベル」に惹かれ絲山秋子さん初読み。本谷有希子さん『生きてるだけで、愛。』のようなイタさをイメージしていたが、21歳の主人公・花ちゃんの博多弁が良い意味で暗さを払拭。福岡タワーに近い百道病院の解放病棟から、花ちゃんの脱走に巻き込まれる「なごやん」こと、24歳茶髪の蓬田司との掛け合い漫才のような会話(本人たちは大真面目なのだろうが)がツボ。安易に男女の関係にならないのも良い。『資本論』の一節「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」が幻聴と判っていても→
2014/12/01
なゆ
再読。花ちゃんとなごやんの、精神病院からの九州縦断逃亡ロードノベル。「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」という謎めいた幻聴が印象的。躁の花ちゃんと鬱気味のなごやん、精神状態は決して良くはないのに二人のかけあいが楽しげ。行き当たりばったりの1000キロの珍道中は、花ちゃんの心を何かからちょっとだけ解放してくれたように思う。前回は絲山さんのよさがわからないままに読んだので、改めてじっくりと読みなおしてみて良かった。久しぶりに、大観峰に行きたくなってしまった。で、なごやんみたく「うおおお~」と言ってみるのだ。
2015/02/03
ぶんこ
精神病病院の薬漬けの実態?におののく。きつい薬の副作用から逃れたい一心で逃亡をする、躁で強い幻聴に悩まされている花ちゃん。軽い鬱で入院していたなごやんを道連れに九州縦断の逃避行が始まる。表題の「くそたわけ」の意味がわかる軽犯罪を重ねつつも、罪悪感がない様子に驚く。そんな2人ですが、どうにも憎めない。むしろ応援したくなる。なごやんがギトギト男性でなくてよかった。この後どうなるのか。先に続編を借りていたので、すぐに読めるのが嬉しい。
2022/11/05
なゆ
博多弁の小説はいろいろあるけれど、これが一番わざとらしくない博多弁でした。そういう意味でも、お気に入り(*^_^*)そいぎんた~ナイス!ロードムービー好きだから、楽しめました★
2011/04/21
及川まゆみ
これが直木賞の候補になった時、渡辺淳一は「肝腎の精神病者が普通の健常者にしか見えないし、健常なのに精神病者にされたのだとしたら、その背景をしっかり描くべきである」と評したが、なんか違うんだよね、渡辺淳一の考えは。充分患者の行動だったと思いますよ。それに絲山秋子さんは自身の病気を公表しているからこの物語はリアルに感じました。あっけらかんとしたロードムービーに仕上がっていて、こういう話もありだと思う。精神病だからって重たく描けばいいってもんじゃないし、ユーモアがあっていいんじゃないですか。方言も良かったです。
2019/03/30
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