義民が駆ける 新装改版
義民が駆ける 新装改版 / 感想・レビュー
鉄人28号
☆ 荘内藩、川越藩、長岡藩三藩の三方国替えの幕府の方針に対して、領主を慕っていた荘内藩の領民が、これを阻止しようとして一致団結して行動する。時代は大御所時代から水野忠邦の天保の改革期にかけての時代。当時の時代背景や忠邦をはじめとする幕閣や庄内藩の家臣の思惑がよく描かれている。いろんな人物が出てきたり、当時の文書の書き下しが多く掲載されていたりして、読んでいてやや疲れる。
2016/09/21
Tanaka9999
2006年発行中央公論新社の単行本。あとがき有。歴史小説のひとつだが、核となる主人公がいないためどうしても散漫な印象となってしまう。にしても、江戸時代を通じて同一領主だった大藩については領民と領主との間に親しみのようなものがあったようで、幕末の志士の中には下級武士だけではなく被支配層出身者もいるようだ。比較的領主が変わった土地の話というのは(小説であっても)あまり聞かない。領主が変わるというのは少なくとも現代の市長が変わる以上のものがあるだろうが、どんな感じだったのだろうか。
2020/12/06
よるる
天保十一年、江戸後期に実際に起きた天保義民事件。財政破綻の川越藩が裕福な荘内藩への転封を画策、あからさまな転封を目隠しする為に老中水野忠邦が長岡藩を加え、三方領地替えが言い渡される。比較的善政を行い領民との関係の良かった荘内藩では、領地替えに反対する農民が命をかけ幕府に訴え出る。ただ殿様を慕うゆえの美談ではなく、農民がその後の自分達の暮らしを見据え理路整然と訴えを起こしていた事実。良い意味で実にしたたかで逞しい。終盤、吉報を伝える早駕籠に喜ぶ民衆が群がり、大群衆が鶴ケ岡城に向かうシーンは是非映像で見たい!
2013/05/28
須那 雄太郎
津山市立図書館
2015/06/18
むさし
打算的な動きをするにも、長年培った土壌があってこそ、いざ行動が起こせると感じた。そして、事が成った後の元通りの藩主と領民への関係へ戻る手際は唸らざるをえない
2018/02/18
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