廃帝綺譚
廃帝綺譚 / 感想・レビュー
九鳥
図書館本。安徳天皇漂海記の世界再び。元の衰亡、明の興国、さらに明の崩壊を描いた3編と、前作では実体を伴わない悪意として対峙していた後鳥羽院の物語1編。流転する神器とともに「諸行無常」「盛者必衰」の主題が全編に通奏低音として流れているから、どの時代のどの国の物語であってもぶれずに連作としてまとまっているし、切なく心を打つ。前作で終わらず、ここまで読めてよかった。
2009/06/12
ぺん
宇月原晴明の本は初めて。なぜか突然、安徳天皇漂海記を読みたくなり、図書館で探してみたがなく、かわりに借りてきた本。同じ世界の話みたいなので、是非安徳天皇〜も読んでみたい。4篇ともそれぞれ違う味つけで諸行無常が表されている。特に中国王朝の廃帝たちはあまりよく知らない人たちだけど、彼らの周辺事情や時代背景をさらに突っ込んで知りたくなる一冊だった。
2015/09/24
とも
★★☆初宇月原。『廃され追われ流された帝王たちをめぐる連作短編集』、という背表紙にひかれて読み始めたものの、はじめのルスティケロの序章のみドキドキ期待したものの、それ以降はどの章も大した盛り上がりもなく、終了。本の少しの知識の増加にはつながったので、星2つ半が精いっぱい。
2012/10/07
うさぎや
再読。数奇な物語はここにその幕を閉じる。
2024/06/09
海月
『安徳天皇漂海記』以後、遺された渾沌たる水蛭子の玉の行く末を紡ぐ短編綺譚集。無常の理をもって描かれる大元帝国、明朝の落陽。物悲しい最期に隣国の戦乱と統治の歴史を見ました。悲運の公主の奇跡と清朝の神秘を排した帰結も上手い。後鳥羽院の苦悩を描く末章〈大海絶歌〉は時代に翻弄された義兄弟の愛憎と哀愁とに心打たれます。ロマンがあって好みの作品でした。
2013/07/15
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