錦
錦 / 感想・レビュー
イノ
瀧村美術織物の創設者 初代 瀧村平蔵の一代記を仮名を使って描く。素晴らしい才能と運に恵まれた彼でも、巨万の富を築き上げるようなサクセスストーリーでは無く、浮き沈みの激しい人生を送るのは、彼が商売人としてよりも職人であったからなのだろう。周りの女性や部下の大変さが見えて、共に生きるのはさぞ大変だったろうと思い遣られるが、滝村美術織物の息を飲むような美しい帯やタピスリーを手元に観る事が出来る今だからこそ、当時の平蔵を盛り立てていた人々の、高みを目指す想いや願いを痛切に感じる事が出来る。
2018/04/08
umeko
吉蔵より、仙、むら、ふくの方が生き生きしていた。物語としては面白かったが、吉蔵が魅了された織物の世界の魅力が伝わってこなかった。
2015/04/07
kitten
図書館本。和服好きの友人に勧められて読了。織物、錦に対する吉蔵の執念をみた。経営者、創業者というよりも、研究者だったのだろう。波乱万丈の人生だった。特に、宮様へのタピスリーの件。口惜しかっただろうなあ。最期まで尽くした仙も、本望だったのだろう。評価、星3。壮大な一代記
2019/02/12
mokamoka
織物に魅せられた男の生涯。何かで読んだ「芸術家は女々しくなければならない」を思い出し、納得。宮尾さんの文章はすっきり淡々としているので読みやすいけど、仙とむらが気の毒に思えてしょうがない。まぁ時代とはいえ身勝手で女々しい男なんだよなぁ。だからこそ成し遂げた偉業といえる。主人公は女性3人であるように思った。検索してみたけど、実物を見てみたい!
2012/01/20
月夜
優れた芸術家がイコールいい人間 ではないことは わかっているが 読み手としては 面白くない。本書は 喜怒哀楽が激しく 自分のことしか考えない男に なぜ女は惹かれるのか と言う 話ではない。ただ 彼の人生を綴っている。 非常に苦労して 作品を作りました。そうであろう。しかし 私のような凡人は どんなに良い作品を見ても 「まぁ綺麗」 それだけである。スポーツに関してもそう。結局芸術とは 彼とその作品を愛でる一部の人の自己満足の世界なのだと思う。 これでは 本の感想にはならないかしら。広げれば読書もそうである。
2013/12/29
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