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かたちだけの愛

かたちだけの愛

かたちだけの愛

作家
平野啓一郎
出版社
中央公論新社
発売日
2010-12-10
ISBN
9784120041761
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かたちだけの愛 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

事故で片足を失った女優、叶世久美子の再生の物語であり、また同時にデザイナー相良郁哉の愛の模索の物語。冒頭は「雨の中の出会い」といたって古典的。小説の全体にわたって久美子の障碍が核となって展開するが、三笠をめぐる葛藤など久美子に一貫性の欠如が見られるようだ。カメラマン唐沢の言葉で意味付けはなされてはいるものの、構想の甘さも否めない。また、敵役の三笠もいつの間にか退場し、最後を華やかなパリコレのランウエイで飾るなんて飛躍し過ぎだろう。つまるところ、平野啓一郎がエイミー・マリンズに感激して書いたということか。

2017/03/04

のり

プロダクトデザイナーの相良は自己現場に遭遇し、人命救助にあたる。大怪我を負ったのは女優の叶世久美子だった。一命は取り留めたが、左足切断の重症。お互い、何かに縛られる現実があった。お見舞いで再び顔を会わせた二人。相良はデザイナーとして義足をつくる側に…それだけに止まらず、急接近する心。恋から愛に移行する。人それぞれ、愛の定義は違うと思う。言葉では中々説明出来ない事は多々ある。だからこそ、恋愛は、面白く楽しいものだと思う。久美子の義足を作る為に集まった人々のプロフェッショナルな、妥協ない仕事振りに感動。

2017/04/24

優希

王道のラブストーリーではありますがとても美しいです。事故によって片足を失った女優の叶世久美子とプロダクト・デザイナーの相良郁哉。愛という形を失った2人が愛を見つけていく大人の恋愛ですが、モチーフとして散らばっているものが感性によって描かれていると思わせるほど繊細さに満ちていました。鋭敏な感覚がなければこの世界は生まれなかったと思います。義足というハンデが重いですが、この重みが久美子と郁哉の証なのではないでしょうか。流麗な日本語、綺麗で強い世界。言葉にすると陳腐になるほど心がふるえ、痺れました。

2015/03/15

クリママ

バツイチのプロダクトデザイナーが交通事故にあった女優を偶然救助する。彼女は片足を膝上から切断する重傷を負い、その義足をデザインすることになる。実在の人物、デザインも登場する物語。エイミー・マリンズのように誰もがうらやむ義足をデザインするコンセプトはとてもいいと思った。女優の顔、本名の顔など、彼女も彼も、平野氏の文人思想がある。「決壊」「ドーン」に続く完結編とのことだが、「決壊」のインパクトが強すぎて、こちらは普通の恋愛小説に思える。登坂部分の物語で、目的を達成した後の二人がどうなるのか、先に不安を感じた。

2022/03/24

万葉語り

ある男を読んで、マチネが映画化されるということで、これも図書館で目に付いたので読んでみた。男の人が書く恋愛小説だなと思った。冒頭で主人公の元に届く母の遺骨と、主人公が出会う自動車事故がこんなきれいな結末に繋がるとは思わなかった。ほかの作品も読んでみたいと思った。2019-136

2019/09/28

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