KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

久米正雄伝: 微苦笑の人

久米正雄伝: 微苦笑の人

久米正雄伝: 微苦笑の人

作家
小谷野敦
出版社
中央公論新社
発売日
2011-05-01
ISBN
9784120042003
amazonで購入する Kindle版を購入する

久米正雄伝: 微苦笑の人 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

harass

漱石の娘との三角関係で有名な作家の伝記。今ではすっかり読まれることはない作家で、著者は彼の全小説に目を通したが面白くなくつまらないもので苦痛だったとぼやく。当時は失恋作家として知名度があって通俗小説を量産していて売れっ子だった。文章力はあったが普通の人が間違って作家になった人だと結論付ける。大正昭和戦後の文学出版業界の有名無名の人物がでてくる。また当時の文学常識のことも詳しく説明していろいろ面白く読めた。純文学は今も昔も売れるものではなくて、文学をやるひとは貧乏するか趣味で書く金持ちかだと著者は言う。

2014/02/26

kokada_jnet

実に面白かった。「忘れられた文豪」久米正雄の初の評伝。その忘れられた理由である「俗物としての久米」を嫌になるほど執拗に描写。破船事件、私小説純文学論、文学報国会等の文学史的常識を、小谷野ブシで斬りまくる。著者が興味がなかったという「趣味人としての久米」についてももう少し書いてもらえれば「虚なる中心としての久米」を通しての大正・昭和の文化史研究としても貴重な本になったろう・・。この本での、久米の通俗小説の演劇化・映画化についての記述も、非常に興味深い内容だった。

2011/06/19

Gen Kato

めちゃおもしろかった。小谷野氏の著作としてもお気に入りの一冊。随所で笑わせてくれるし考えさせてもくれる。労作にして傑作評伝です。

2024/06/17

勝浩1958

著者は「洋行は時に空疎であり、苦痛でもある。…(中略)久米は漱石のように孤独と苦痛に苦しむこともなく、…(中略)碌に報告すべきこともないままに帰国したのであってみれば、これは日本近代文学史上、最も空疎な文学者の洋行として特筆されるべきものかもしれない。」とか「しかしスティーブンソンの書簡集は、英国で出ているのである。二度も英国へ渡った久米が、その程度のことも分からなくなっているのである。芥川賞史上、最も間の抜けた選評であると言っても過言ではない。」などと扱下ろしているのだ。風変わりな評伝であった。

2011/10/04

おにぎり

成程、天才にありがちな狂気もなければ己の全てを曝け出す勇気もない、しかし学歴と世渡りだけで何とか「作家」をやれてしまったような凡人の人生を調べ上げ伝記にする……というのは、ひどく退屈な行いなのであろう。それはもう、誰もやりたがらないぐらいに退屈な仕事なのだろう。その退屈を引き受ける人間など居ない。よって、後世に名を残さない作家というのは、名が消えるだけの理由があるのだ……と言う事が良く分かる伝記本。

2018/08/20

感想・レビューをもっと見る