川端康成伝 - 双面の人
川端康成伝 - 双面の人 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
分厚い伝記なのだが、ものすごく面白い。途中で私のコンディションが悪くなって中断したりしたのだが、これは必ず最後まで読みたいと思っていた。以前『江藤淳と大江健三郎』を読んで面白かったので、作者の書く伝記に信用を持っていた。以下雑感●横光利一が川端康成の顔を「北条早雲に似ている」と言ったそうだが言い得て妙。●若い頃のあの目は、昔の松本人志や太田光にも似ている。●著者が383ページに引用した川端の手紙は本当にいい手紙で、ここだけでも読んでみて欲しい。●『掌の小説』『山の音』『眠れる美女』『文芸時評』を読みたい。
2020/06/16
佐島楓
卒論参考文献。
2018/08/01
ハチアカデミー
目からアウラである。朧気に孤高の作家というイメージを持っていたが、本書で川端は偉大なる俗物として描かれ、作品のすばらしさと人間性が乖離した人物像が提示される。代作だらけ。口に出さないけど地位と名誉、金(によって得られるもの)と女が好き。政治家とも天皇家とも懇意、などなど。「結語」で言われるように優れた芸術家が優れた人物である必要はない。どんな大悪人でも作品が優れていればそれでよい。本書は作家の生涯を丁寧に追いかけた労作であるがそれを緻密にやることで当時の世相や読者の顔が見えてくる。文壇政治の実状も見える。
2013/11/12
パブロ
何だかヌメッとしてとっても気持ちの悪い人。これがこの本を読む前の私の川端康成像だ。代作問題や自殺の真相など闇の部分が多すぎなんだもん。この評伝、「双面の人」という副題があるように、孤高の人という世間の川端康成像をしっかりと地上に引きずり下ろしてくれるから面白い。政治的・実務的な能力に優れ、大の社交好き。しかもプロット構成が苦手で、資料の読み込みもロクにできない。それなのに文豪となった川端康成の実像がこの本を読めば、クッキリと眼の前に現れる。これぞ評伝。あぁ、それにしても川端康成の何たる偉大な俗物さ!
2015/02/04
モリータ
作品各論を集めたものとかではなくて年譜ベースの事実列挙型だから、後で知りたいことがあったらすぐ参照できていい。もう少し作品の「感想」があっても私は楽しく読めるけど。
2014/08/03
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