恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES
恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES / 感想・レビュー
ヴェネツィア
村上春樹のお眼鏡にかなった北米の作家たちによる短篇を9篇収録+最後に御大自身の小品という構成。中にはちゃんと本年度のノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローの作品も入っていて、なかなかに慧眼。もっとも、彼女の作品は柴田元幸氏の選らしいのだが。収められた短篇はいずれも大人の恋を描いて洒脱な風情を漂わせるものばかりだ。村上春樹も若くないのだ(これはいい意味で)。篇中では「モントリオールの恋人」が白眉か。なお、作品集のタイトル『恋しくて』には違和感が否めない。『ラヴ・ストーリーズ』でよかったのではないだろうか。
2013/10/13
風眠
村上春樹翻訳のアンソロジー。言葉というものは不思議なもので、言葉によってそれ以上の広がりを感じることもあれば、言葉によって限定されてしまうこともある。翻訳というフィルターが掛かったことで、物語の雰囲気が限定されてしまったように感じた。私が英語に堪能だったらよかったのにと、少し悔しい。春樹氏の書き下ろし『恋するザムザ』は、フィルターが掛かってない分、すっと物語が入ってきた。重大なことになっているらしい世界、その世界とザムザを繋ぐ背むし娘。もう一度会いたい、それが恋か分からない、けれど、たぶん恋なのだろう。
2014/09/26
きりこ
春樹さん翻訳・編集の恋愛ストーリーアンソロジー。チョコレートと同じで甘みと苦味がバランス良く配合された小説が味わい深く、甘く幸せそうな話よりビターな大人の恋話の方が断然面白いと思いました。実際の恋愛も幸せに育まれるものばかりでなく、紆余曲折があったりするものだし。 「L・デバートとアリエット」「ジャック・ランダ・ホテル」「モントリオールの恋人」が印象に残りました。「恋するザムザ」は元ネタの「変身」を読みたくなります。確かに人を恋した記憶というのは人生をほんのり温めてくれるものだと思います。→
2014/06/12
抹茶モナカ
翻訳者でもある村上春樹さんが編集した恋愛小説のアンソロジー。リチャード・フォード著の『モントリオールの恋人』が気に入った。多分、カーヴァーと似ている感じがするからだろう。村上春樹さんの作品『恋するザムザ』も収録されていて、こちらも興味深い。
2013/09/14
紫 綺
どうして翻訳小説って、カクカク四角な文章になってしまうんだろう?村上さんほどの作家でも、そうなるのが不思議。スーパー意訳してもいいと思う。もっとも、村上さんの文章自体が英訳を意識した文章に思えるのは、私だけ?
2014/02/06
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