戸惑う窓
戸惑う窓 / 感想・レビュー
コットン
雑誌Chonosに連載されたエッセイ。窓の「さまざまな条件にこちらの精神状態がうまく合致したとき、窓は窓という規矩を押し付けることをやめ、真の意味で開かれた窓になるのではないか?」…と、対象とこちらの関係性なんですよね!シムノンの話や安部公房の箱男の話なども面白い。具象画なのに一時気になっていた画家ワイエスについて堀江さんは「テンペラ画を学び細密描写が力を得て、世界を抽象的に震わせはじめる。」と解説していて納得。
2016/04/02
蘭奢待
美しい装丁に惹かれて購入。窓をテーマにしたエッセイ。静謐で知的な筆致だが印象には残らない。堀江敏幸らしい本。
2018/09/17
ドル箱
さて本書は「窓」に関する作品集を綴った書である。そこには同著「目ざめて腕時計をみると」の根底概念が存在し、また、マドという文体を現す書でもあった。窓という起源は、ヒト(ホモサピエンス)の洞穴の通気孔から生まれた言霊であり、書の起源は、東晋の時代まで遡られなければならない車胤と孫康の資料文献(晋書)を読むと、それに関する解説がある。ちなみに「蛍の光」の原書でもある。まぁこうして「窓」という言霊が生まれたのだが、堀江敏幸は、その解説をせず、歴代の窓小説、窓の詞を多用、引用している。
2014/07/27
kankoto
ゆっくり少しずつ時間をかけて読んだ。そうでなくては目の上をさらさらと文章が流れていってしまうから。窓をキーワードにして色んな作品をリンクして語られる文章。そこに作者の体験や感覚が交じってさらに窓の世界がひろがっていく。けれど読んだ後はぼんやりと白日夢の世界に行ってきたような感覚
2014/02/23
Yui
窓がテーマのエッセイ。窓だけど窓にまつわる小説や詩について。とまどうまどというタイトルで’まど’を重ねたのも意図してのことなのかな。今まで窓に着目したことなんてなかったけど、意識してみると面白い。同じ景色でも磨りガラス越しに見るか普通のガラス窓からみるかで全然違うものになるよなあ。作中に出てくる詩や小説に知ってるものはひとつもなかったので知ってたらもっと楽しめたかな。読みやすいというよりじっくり読むという感じ。
2021/09/12
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