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楽園

楽園

楽園

作家
花房観音
出版社
中央公論新社
発売日
2014-04-09
ISBN
9784120046056
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楽園 / 感想・レビュー

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ミカママ

読みながらこれだけ付箋を付けておきながら、感想の書きにくい作品も珍しい。花房さんは、オンナの情感、嫉妬、そして「老いることへの」焦りを描くのが本当にお上手。この作品に出てくる女性たちの誰もが(17歳の芽以奈でさえも)少しずつ私の中に棲んでいる。ラストまで読んで、初めて冒頭がストン、と心に落ちてくる。「男たちを愛することで、私は私を愛することができた」深いぜ。

2016/04/05

青蓮

読み友さんの感想から。「楽園ハイツ」に住む女性達の性愛を描いた物語。共感したのは寺嶋蘭子の章かな。読んでてなんか胸が痛かった。周りからどう思われようとも「女」と言うものを全力で味わったみつ子はある意味勝者だと思う。彼女は愚かかもしれないけど、快楽を、欲望を貪りながら「女」であり続けたのは凄い。私も30を過ぎて、いつまで「女」であり続けることが出来るのか、何となく怖い。老いと死は容赦なくやってくる。大事なのは「年相応」の「女」でいることなのかなと思ったり。

2015/11/04

モルク

「楽園」と呼ばれた赤線の跡地に建つ「楽園ハイツ」の住人たちと顔に大きな傷痕のある大家の老婆との物語。年齢を重ねてもいつまでも一人の女であり続けたいと願う女たち。うぬぼれ、嫉妬が渦巻き彼女らの生と性を描く。そこに一階の喫茶店のマスターが妖しい魅力で絡む。読後に、ああ序章の主人公は彼女か…とわかる。ちょっとミステリー?そしてもちろん官能描写もある。

2018/05/09

Ikutan

京都花街、高瀬川沿いの一帯に存在した『楽園』。男を解放し女の価値を生み出した場所。そこに建てられた『楽園ハイツ』に住む女たちのそれぞれの欲望をねっとりと描いた大人な物語。嫉妬や不安を抱えながらも「いい家族」と思い込もうとする女の苦悩。若い男に溺れる女の危うさ。元夫の一言に縛られる女の辛さ。かつて『楽園』に身を置き、男を知り尽くした女の思い。夫を亡くしてから激変した女がたどり着いた深みとその娘の強かで冷めた視線。そして、大家の顔の傷が語る深く重い過去。40女たちの性愛にもがく姿が愛しくも切なかった。

2015/09/09

らむれ

ねっとり、女の内面が濃く描かれていて、沼に片足突っ込んじゃった気分。女っていうアイデンティティを保ち続けるのは難しい。女の人は小さい頃から見た目で判断されることが多くて、嫌なことだけど、案外それが拠り所になっていたりもする。特に若いうちは。そういう表層の部分が年齢とともに剥がされて、最後に残る女の在り方を結晶させたのが「楽園」だと思う。楽園が天国なのは女でいられるから、地獄なのは女であることを目の当たりにするから。女っていう性が諸刃の剣なのね。拘泥するって怖い、でも手元に何も残らないのはもっと怖い。

2015/06/16

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