三の隣は五号室
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三の隣は五号室 / 感想・レビュー
遥かなる想い
2016年谷崎潤一郎賞受賞。 第一藤岡荘で暮らす人々の物語。 着眼点が斬新で面白い..住人が次々と 入れ替わる藤岡荘の日々を 間取り.シンク等で 重畳して描く。読んでいると なぜか懐かしく なるのは 読者にも こういう時代があったからなのだろうか..物語の中に散りばめられている かつてのドラマは その時代の風景なのだろう。 不思議な感覚を覚える物語だった
2017/01/01
抹茶モナカ
藤岡荘5号室の歴代の住人の挿話を描く。年代順に並んで語られる訳ではなくて、絡まり合いながら語られる。テレビ番組等時代に沿った風俗が小道具として登場し、なつかしかったり、共感したり。住人の心象風景が鮮やかにスケッチされていて見事。長嶋有さんには、テレビと漫画の使い方に共感させられる。僕自身も、今いる時代から、退室する日が来るのだな、と思った。
2016/10/02
hit4papa
三方を障子に囲まれた不思議な間取りの部屋。この5号室に代々暮らした住人たちの日常を切り取った作品です。大家の息子の初代から始まり、OL、女子大生、家族、犯罪者(?)、単身赴任者、老夫婦、外国人などなど、アパートに住人が殆どいなくなるまでの月日が、些細な出来事をリレー形式でつないでいきます。後の住人かハテナとなる残されたもののいきさつが面白いですね。それぞれの年代のテレビ番組、出来事などさりげなく取り上げており、懐かしくなります。登場人物が多く、時制が行ったり来たりと、慣れるまで時間がかかるのが難ですね。
2022/12/05
chimako
毎度のことながらクライマックスがわからない。全く盛り上がらず淡々と語られる5号室の暮し。1966年~2012年までの46年間、13組の住人たちのささやかな日常がテーマごとに語られていく。雨だれだったり、テレビだったり。一人目の藤岡一平に始り、二瓶、三輪、四元、五十嵐、六原、七瀬、八屋、九重、十畑、霜月、アリー(彼の名前がなぜ12と関係あるのかわからないが)、十三と住人の名前も凝っている。各章題もセンスがある。そして第九話メドレーに続く最終章で少ししんみりしてしまう。面白いでは表現できない一冊でした。
2017/06/11
ケンケン
(490冊目)相変わらず挑戦的な作品を書いてくれるな~長嶋さん! どんなストーリー?っと説明を求められると…半世紀、あるアパートの一室【ヘンテコ間取り】とともに過ぎ去っていく歴代住民とそれぞれの生活の欠片を、俯瞰的に時には寄り添いながら垣間見る日常小説かな? とりあえず、私は好きな作品である。 一人暮らし時代を思い出しながら、フフッとほそく笑みながら楽しんだ♪ 凝った洒落た装丁もGOODΣ(゚Д゚)
2016/08/30
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