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お春

お春

お春

作家
橋本治
出版社
中央公論新社
発売日
2016-07-06
ISBN
9784120048661
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お春 / 感想・レビュー

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starbro

橋本治は、新作中心に読んでいる作家です。本書は連作短編集かと思って読みましたが、長編小説でした。大店の箱入の一人娘の物語は初めてでしたが、美人で淫蕩な母娘だと色んな問題が起きるのかも知れません。江戸時代の春画なんかを見ると、かなり大らかなような気もしますが、実際はどうだったんでしょうか?

2016/08/17

いつでも母さん

装画のインパクトで手にする。主人公・お春の天然なのか、母譲りの奔放さ故なのか、はたまた女の持つしたたかさなのか・・どれも今一つピンとは来ないのだが、一気に読了した。この中の誰~にも共感など出来はしなかったが、小篠の存在が不気味で又哀しかった。あとはラストの孫三郎が良い。これだけでポイント高いわ~(笑)きっと本物の夫婦になるだろうな。孕んだ母娘はは血の海で己を見失う。ぞくっとしたが、お春のような娘はちょっと私の手には負えないなぁ。お薦めはしないが嫌いではなかった。

2016/08/04

橋本治さんの時代小説はどんなものか、谷崎へのオマージュということもあって読んでみました。谷崎と言われると、まぁ言いたいこと?やりたいこと?わかる。けど、谷崎の名を出されるとやっぱり比べてしまう…。お春が器量良しなのもお春の母が奔放だったのも書いてあるけど、滲み出るものが感じられなかった。強烈なキャラクターもいなかったせいもあるのかも。とにかく孫三郎さんめっちゃいいひと!という印象。

2016/07/30

くさてる

花鳥風月、着物や風景の素晴らしい描写に幻惑された。そしてそれを背景に描かれる、主人公の傲慢なまでに美しい十代の娘ならではの残酷さと愚かさ、その周りのひとびとの保身と人情の境目で揺れる感情に迷った。すべての登場人物の気持ちや考えが分かるようで分からない。地続きのようでいてどこかが分断されているこの感覚が、江戸時代の人々と現代を生きる自分との価値観、生き方の違いからくるのだと気づいてからは、さすが橋本治とうめきたくなった。物語としては尻切れトンボに思えるけれど、それも含めて物語だといわれたら素直に降参。凄い。

2017/07/05

乾物問屋の一人娘お春が番頭に手篭めにされ、花見に行った先でかどわかされ身元もわからぬ武家に拉致され、三ヶ月後に家に戻る物語。お春の内心はかなり辛辣で冷静で気位の高さを示していながら、その思いを表す事なくただ流されていく様がなんとももどかしい。行方不明になった娘を積極的に探そうとしない父親のことなかれ主義的な発想に唖然とする。自分で孕ませた女を穢らわしいと拒否する主水正を殺害する侍女小篠、登場人物全員がどこかこの世の人ならざるような気がして、物語に入り込めなかった。

2019/12/13

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