千の扉 (単行本)
千の扉 (単行本) / 感想・レビュー
みかん🍊
東京のマンモス団地に暫く住むことになった千歳は密かに夫の祖父から頼まれた人捜しをする為3千戸もある団地の中で時間がある時に歩き回る、都会にありながら緑の濃いこんな団地がまだ健在で、住む人が居なくなった幽霊団地も聞くが、ここは自転車で新宿へ行ける程便利な場所でありながら 家賃も安いのでほぼ満室という、しかし戦後からの長い歴史があり丘の様な小山や沢山の木々に囲まれ、都市伝説や怪談の噂もある、時系列や視点が突然変わってしまうので戸惑ってしまったが、過去と現在の団地や社会の有り様の変化が面白かった。
2022/05/10
モルク
都心近くの巨大公団団地。夫の祖父勝男の留守を守るため暮らすこととなった千歳は、勝男から人探しの依頼をうける。淡々と進む物語の途中突然過去に戻り、様々な人間模様が垣間見える。最近では失われてきた近所付き合いもあるなかで、高齢化に悩む団地の姿も浮き彫りとなる。勝男の若かりし頃の結ばれぬ恋、亡き妻への思い、そしてその思いとともに団地で生きてきた勝男さんが素敵だった。
2018/09/11
なゆ
ああ、柴崎さんの世界だな、と読みながら嬉しく思う。どこまでもさりげない日常の積み重ね、幾人もの過去の記憶の積み重ね。ここでは巨大な団地のあたりを舞台に、今のいろんな生活や家族、そして親世代の、さらには祖父母世代に建築されはじめたころのそういった様子が。夫の一俊の祖父の住む都営団地に住むことになった千歳は、その祖父勝男から〝高橋さん〟を探してくれと頼まれる。そのメインのストーリーから、時間を行き来しいろんな人が現れ…主に千歳の視点を通しているが、実は勝男が、もしかするとこの団地自体が主役なのかも。
2017/11/06
taiko
夫の祖父の留守を守るため、団地に住むことになった千歳夫婦。高齢化が進み、音のない団地で、祖父に頼まれた人探しを、千歳は続けていた。…独特の世界観のある作品。メインのストーリーの中に、ポツンポツンと団地と関わる人達の記憶の断片が浮かんでくる。その時代背景も様々で、最初はかなり混乱しました。でもその描き方が、結果としてこのお話に効果的に働いていると最後には気づきます。勝男さんの思い出とその若き頃は、戦争の色を大きく受け継いだもので、それは戦後に建てられた団地と共に生きてきたもの。自分の親たちにも→続く
2018/06/08
ゆみねこ
柴崎友香さん、初読み。読み友さんの感想から手に。新宿の戸山団地を舞台に、祖父の家に仮住まいする孫嫁の視点で語られる物語。過去と現在を行き来しつつ進む物語の世界に引き込まれました。良書。
2018/10/06
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