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架空の犬と嘘をつく猫 (単行本)

架空の犬と嘘をつく猫 (単行本)

架空の犬と嘘をつく猫 (単行本)

作家
寺地はるな
出版社
中央公論新社
発売日
2017-12-20
ISBN
9784120050343
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架空の犬と嘘をつく猫 (単行本) / 感想・レビュー

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風眠

悩みなんて無さそうに見えていても、人は何かしらを抱えているものだ。それは、埋められない心の中の空洞。寂しさ、やるせなさ、喪失、怒り、哀しみ、愛も情も、色んな感情が入り混じって。それらは外側からは見えないから、いつまでも埋められないまま。親族も含めた他者に求めても、どうしようもできない事もある。せめてその埋められない何かを、話し合ったりできる状況だったら救われる事もあるのかもしれない。家族がいても、友人や恋人がいても、皆ひとりなのだと思う。ひとりを自覚した上で、寂しさを共有できるといい。難しいことだけれど。

2019/07/06

さてさて

『現実にはないなにかを心の拠りどころとして生きることは、むなしいことでしょうか』と山吹の言葉を通して問いかける寺地さん。人は生きていく中で不安に苛まれることがあります。不安に押し潰されそうになることがあります。そんな時には真実でなくて嘘でもいいと嘘に寄る術を求めたくなります。嘘に守られ、嘘に支えられ、そして嘘に救われる。”嘘をつく”という行為の奥深さを改めて考える機会をいただきました。とても重く深い内容を、柔らかい筆致で鮮やかに描いていく寺地さんの傑作、う〜ん深い!、読後に思わず呟いてしまった作品でした。

2020/11/14

しんたろー

寺地さん4冊目。主人公・山吹を中心にした上手くいっていない家族たちの5年毎を30年に渡って描いた話…哀しい事情や切ない想いを抱えている人も多く、単に面白可笑しい話ではないがボーっとしていながらも優しい性格の山吹が物語に温かみをもたらせている。所々にハッとさせられる素敵な台詞もあって、しみじみと読み進められた。特に、山吹と彼女・頼の関係が微笑ましく、頼の両親も素敵で癒された。今更ながらだが「家族には色んな形があるよなぁ」と考えさせられたし「幸せは身近なものなんだよなぁ」と改めて気付かせてくれた良作だった。

2019/04/26

❁かな❁

とっても素敵な作品♡大好き♡寺地さんの作品を読むのは2作目。弟の死をきっかけに壊れてしまった母、頼りない父など問題の多い家庭で辛い子供時代を過ごす山吹。家族の中でまともな祖母の存在は大きい。羽猫家の30年の軌跡。最初は悲しく重いお話で辛かったけど時が経ち家族の状況も変わっていく。色んな出来事や言葉に何度も涙した。共感し切なくなったり感動したり。登場人物の言葉や温かさが胸に沁みる。現実にはないなにかを心の拠り所として生きるのもいいと思う。読みながら寺地さんの作品好きだなぁと何回も思った*印象に残った言葉は

2018/05/10

ナイスネイチャ

図書館本。最初から重たい状況で5年毎に成長していく主人公山吹。母を思いやりながら嘘をついて生きてきたのに逆に疎んじらるのはちょっと心苦しかった。大人になりよきパートナーを見つけて現実世界に戻っていく・・。ハッピーエンドとは言わないが、清々しさが残る作品。

2018/03/02

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