近松秋江伝-情痴と報国の人 (単行本)
近松秋江伝-情痴と報国の人 (単行本) / 感想・レビュー
軍縮地球市民shinshin
近松秋江という作家も今日ではあまり読まれない私小説作家である。「情痴文学」と呼ばれ、男が別れた女に未練たらしく付きまとい、居場所を突き止め、不意に訪問したり、近所に引っ越したりする話が多い。現代だと立派なストーカー行為で法律で罰せられるが、明治時代にはなんでもなかったようだ。近松は昭和に入ると生前から「過去の作家」扱いをなかばされていてそんなに本は売れなかった。『水野越前守』に代表される歴史小説を執筆するがこれもさほど評価されなかった。最期は昭和19年に老衰と栄養失調で死んだ。享年69。本書は近松
2023/02/27
Gen Kato
『黒髪』連作、読んだときはおもしろく感じたのだが、こうして現実の姿を描かれると近松秋江の罪深さがリアルに伝わってきてつらい。女性たち、逃げ回ったり病んだり。被害者であり犠牲者だ。近松自身は好き放題生きているのにな。犯罪者の評伝のように読みました。
2024/06/26
yoyogi kazuo
ストーカー小説「悲望」の著者による「ストーカー文学の王」近松秋江の評伝。筆致は冷静でオーソドックスともいえる内容。正直な所客観的過ぎて物足りなさが残る。短いが小島信夫の評伝の方が読みごたえがあった。
2021/06/17
感想・レビューをもっと見る