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あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)

あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)

あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)

作家
小川洋子
堀江敏幸
出版社
中央公論新社
発売日
2019-06-18
ISBN
9784120052057
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あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

小川洋子と堀江敏幸の二人による往復書簡形式のコラボレーション。かつて、辻仁成と江國香織の共作の試み『冷静と情熱のあいだ』があったが、それに比べるとぐっと地味ではあるものの、この二人だけあってさすがに奥行きは深い。最初の頃は方向が定まらず、模索気味であったが、しだいに双方が歩み寄りを見せてくる。ただ、盲目の設定(とりわけ堀江側)は、必ずしも有効に機能しているとはいいがたい。また、同じ方向を目指そうとする試みが随所で無理を生じさせてもいるだろう。最後の十四通目は、堀江が見事にこの書簡物語を収斂させた。

2020/04/18

starbro

小川 洋子は、新作中心に読んでいる作家です。堀江 敏幸は、初読です。男女二人の芥川賞作家による往復書簡小説も初読です。タイトルから、もっとライトな恋愛小説なのかと思いきや、歴史・宇宙・自然科学等とかなり大きな広がりを持った壮大で奥が深い物語でした。

2019/07/14

ウッディ

事情があって今は離れて暮らす男女の往復書簡。アンネの日記、ニュートリノ観測所、パブロフの犬‥自由に綴られる内容を頭で追っている間は読むのが辛かったが、美しい言葉を心で受け止めてみようと思ってからは、二人が出会い、一緒に過ごした思い出を大切にし、互いを思い遣る優しさが溢れていることが感じられた。そして別れる原因になった悲しい思い出も明らかになります。内容を思い出せない美しい夢を見た朝といった読後感でした。BGMは、ラフマニノフのピアノ協奏曲No.3 https://youtu.be/SIVeznsvlOI

2019/10/13

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

僕には予感があった。この静かなる月あかりの湖畔で漕ぎ出したボート、何処にも行かないもう戻れない永遠に君とふたり揺蕩うというよろこびとかなしみ。君のまぶた切り取って記憶にふかく沈めたかった僕はとうとう発見されなかった蛍。君の唇が少しずつ息をすることを拒んで違う星の湖畔にひとり漕ぎ出してしまうこと裏切りのように感じてしまう僕は弱いね。せめてここから見える星であるといい月ならば尚いい新たなる旅立ちを祝福したいと口だけで言う。ことばだけがエヴァンズの切手で運ばれることをねがう春の終わりに。

2020/05/06

KAZOO

小川さんと堀江さんのコラボによる作品です。読んでいてコラボとは思えないほどでした。往復書簡とはいうものの視力に障害がある様ながらこのような物語にしてくれて幻想的な心の内面を描いている感じです。読むのに他の本よりも時間をかけてしまいましたが終えるのがもったいないような感じでしばらくしたらまた再読してみたい気がします。宮本輝さんの「錦繍」を思い出して読みたくなりました。

2019/12/30

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