アトリと五人の王 (単行本)
アトリと五人の王 (単行本) / 感想・レビュー
ままこ
ネグレストされてた幼い王女アトリは数奇な運命により五人の王に嫁ぐことになる。最初に嫁いた慈悲深き「月の王」が考えることを放棄していたアトリに生きる力をもたらす。その後聡明な「少年王」のもとへ嫁ぐが…。過酷な運命に翻弄されながらも優しく強かに賢く成長していく。「強い者の弱い者への無関心は、暴力です」には納得。政治的陰謀や愛憎劇もあり切なく波乱万丈な物語。エンジ、ロルモ、カティンの存在は心強かった。
2019/09/23
さつき
読友さんのレビューから。王女として生まれたのに継母に虐げられ実父にも見放されて育ったアトリ。9歳の初婚から5回の結婚を繰り返す波乱の生涯を送ります。こう書くと女の一代記のようだけど、これは児童書。描かれるのはアトリの9歳から19歳まで。10年間で起きたにしては戦乱も政争もめまぐるしく、それに巻き込まれ続けるアトリの人生も慌ただしい。虐待されて育った子が、しっかりした自我と定見を持つに至る過程が、悲しくも応援したくなる物語でした。「強い者の弱い者への無関心は、暴力です」このセリフ一つに全てが詰まっています。
2019/10/09
あおでん@やさどく管理人
柚記で知識と常識、愛情を得たアトリの描写を読んでいて思ったのは、「自分のことを客観視する」ことの大切さ。知識を身につけて、様々な人の暮らしを知り、自分の立場と比較して考える。特に人の上に立つ者には求められることだと思うし、そうでなくても、客観視を意識することは「優しさ」とか「思いやり」につながっていくはず。
2019/11/24
あおい
継母に疎まれ9歳で嫁がされた王女アトリ。誰にも構われず空っぽだったアトリは月王の元で人間らしく変わっていく。数奇な運命に翻弄されながらもその聡明さで困難を乗り越えていく。彼女の最初の夫が月王で良かった。
2019/12/11
杏子
辺境の国〈東琴〉に生まれた王女アトリが5人の王に嫁ぐことになった物語。たった9歳で嫁いだ〈柚記〉の月王がすべての始まりだった。それまで実家では継母に疎まれ、実の父親からは無関心で放置され、何もできない考えもない子どもが、月王のもとで初めて人間になった。それからアトリはたった5年で次から次へと新たな王と結婚するが、それらの日々も、月王と従者のエンジらのお陰でアトリは自分で物を考え、動くことでやがて多くの人々の希望となる。「嫁ぐ」とはどういうことか?とアトリが自問する場面が心に残る。大人の女性にオススメです。
2019/08/07
感想・レビューをもっと見る